振り返ってみると
あんまり考えた事なかったけど
メロディが頭に浮かぶ時は漠然とメロディや全体像が浮かぶだけで
それがまだ自分の声では再生されなくて
歌詞を書いていく段で初めてそれが脳内で自分の声になる。
ここの歌い回しはこう、みたいな感じで。
基本的には曲先なので、大体はこのパターン。
でも、たまに歌詞とメロディが同時に浮かぶ時がある。
みゆきはそれだった。
あ~のひみ~た~ゆうぐれを~~~~
い~までも~お~ぼえている~~~~
と、ふと頭の中で流れ出した。
だけどなぜか
頭の中に流れた歌は
LOST IN TIMEの海北君の声だった。
あ~のひみ~た~ゆうぐれを~~~~
のところがまさに
海北君のあのビブラートで
あまりに海北君で脳内再生されるので
あれ?これロストの曲だったかな?
と一瞬疑ってしまった。
なのでもし
海北盤にいつかまたLUNKHEADの曲を入れてくれることになったら
ぜひ、みゆきを
ピアノ弾き語りバージョンとかで入れて欲しい。
(過去にピアノ弾き語りで星の欠片を収録してくれたんだけど
それも本当に素敵だった)

この曲も泡沫と同じく
新居浜ジャンドールでのたった一回のスタジオ
(というかステージ、詳しくは泡沫のブログを参照)
のみで本番レコーディングに臨んだ曲なんだけど
この曲は泡沫と比べて割とすいすいっとアレンジがハマった。
構成がシンプルなのでアレンジも基本的にはシンプル。
(デモを作ってる時、普通に一番二番間奏サビアウトロって
作っていったら8分近くなってて、こりゃ長い!と二番を丸ごと削った
結果、歌詞のストーリー的にもちょうど良くなったと思う)
なのでベーシックを録るのはあまり不安要素はなかった。
(ベーシックというのは基本的な4人だけの音、という意味合いで俺らは使っている)
その上でレコーディングではかなりギターダビングを凝った。
ベーシックがシンプルなので
逆にやりたいことがどんどん浮かんできて
結果それを全部やる、という
井上さんの神がかったミックスで全てが在るべき場所に収まった感がある。
頭のディレイ操縦から始まって
最後サビは展開するにつれてどんどんギターが増えていく。
最後サビ2回し目からはパッドぽくアーウーハモまで入ってきて
(歌メロに歌詞の通りハモるハモりを字ハモ
あまりメロディにそわずアーとかウーとかいうコーラスをアーウーハモと呼ぶ
木漏れ陽の最後とかもアーウーハモですね)
冒頭の揺らいでる感じのギターもまた
いつの間にか入ってきてて最後それが残って終わる。
最後の方、壮のアルペジオがチェンバロみたいな音に聴こえるんだけど
なんかしたんだっけかなあ…?
んー多分これは井上さんがミックスの時になんかしてくれたんだろうなあ。
Aメロのアコースティックギターは
確か壮のマーチン(結構高い)を使ったんだと思う。
俺のアコギこんなキラキラした音でない。。
当時、壮が一本くらい良いアコギが欲しい、と
でも弾き語りをするわけでもなく
買ったもののそんなに出番がないので
出番のチャンスとあらば割と俺にも弾きたがらせた。
俺のソロアルバム、眠る前を録る時も
頼んでもないのに、マーチン使う?と言ってきたし。
しかし結果超壮大な曲になったなあ。
たゆたう夕陽が見えるようだ。
桜井さんはデモの段階からこの曲を気に入ってたので
ギターダビングしまくってどんどん曲がデカくなっていってる時
早く桜井さんに聴かせたくてしょうがなかったなあ。
そしたら桜井さんはさらに気に入って
何年も経ってからもまだ
たまに夕方車で聴いてて泣くもんね
と言ってくれていた。

LUNKHEADファンなら割と知ってるみゆきちゃん
帰り途で出てきたみゆきちゃんです。
みゆきちゃんとは高校から付き合って
その後東京と神戸で2年半遠距離恋愛したけど別れてしまった。
付き合ってた頃、ある日ふと思いだって
バイクで神戸まで走ったこともあったなあ。
街乗り用のバイクだったので、とにかくケツが痛かった。
途中でバイクが動かなくなっちゃって途方に暮れたり
(バッテリーの接触不良ですぐ直って良かった)
途中SAの椅子で仮眠したり。
明け方神戸に着いた時は
ロールプレイングゲームをクリアしたかのような
トランス状態でした。
俺はあの頃、西武新宿線の上井草という駅の
下石神井4丁目のメゾン朝日というアパートに暮らしていた。
そこにした決め手は
アパートの裏が
母の好きないわさきちひろさんの生家を息子さんが改造した
いわさきちひろ美術館だったこと。
母の影響で俺もとても好きだったので。
(その後、COWBOY BEBOPにズッパマった時に
COWBOY BEBOPの制作会社サンライズが
上井草にあると知った時もブチアガりました。
あとガンダムとかもサンライズ)
みゆきちゃんと別れたあとも
未練はないけども
あちこち思い出だらけなので
勝手に思い出しちゃうわけです。
ここ一緒に歩いたな、とか
銭湯一緒に行って出る時間決めて
けどだいたい俺の方が遅くて
リアル神田川か!!みたいなこととか。

終わってしまった恋愛は全然引きずらないと
帰り途のブログでも書いたけど
みゆきちゃんは
長くちゃんと付き合った初めての人だったし
新居浜からお互い都会に出てきた激動の中で
たくさんの事を一緒に経験したから
やっぱり思い出も多いし
何より、若いあの頃にみゆきちゃんと見たたくさんの景色が
東京や神戸の、
新居浜と全然違う都会の色や、匂いや、音や、
そして思い出す新居浜の色や、匂いや、音や。
そういうのは自分にとっての宝物だった。
なので帰り途以降いろんな曲に登場してもらってきてたんだけど
けどもうこの曲で最後にしよう、と。
だからみゆきってタイトルにしたいなと。

GOING STEADYにも佳代って曲あるし
この頃小林太郎君と対バンして
太郎君LUNKHEADの事好いてくれてて
で、くれた音源に安田さんって曲と美紗子ちゃんて曲が入ってて
そういうのアリなんだ、と思って
(あと、単にあだち充先生のみゆきが好き、ということもある)

その頃のマネージャーのきのこに(きのこと呼ばれていた)
この曲のタイトル、みゆきってどうかな?
と聞いてみたら
いいんじゃないっすかね?
と返ってきたので
じゃあみゆきで!
とあっさりみゆきに決まったんだけど
いざリリースしてみると
存外女子ウケがどうも良くない。
子供がいることも発表してるのに
今更さんざん方々で話してきたみゆきちゃんのことをタイトルにしたところで
大したことないだろうと思っていたら
どうも乙女心をわかっていなかったようです。
ただ、その分、なのか何なのか
男ウケがものすごい良くて
桜井さんもそうだし
盛岡club changeのブッキングのノブさんも
ライブのお誘いメールの締めにだいたい
みゆきいい曲だぁ
と年一くらいで添えてくる。
最近だともっぱら
男限定ワンマンくらいでしかやってない記憶。
男達が恍惚とした表情でみゆきを
口パクでいつも熱唱しながら聴いてくれてます。

あの頃、
徹夜でレポート書いて
起きたらもう夕方で
起きがけの着晒しのまま煙草を買うだけで今日が終わる
そんな日がよくあった。
実験レポート実験レポートの日々。
あと深夜バイト。
タバコ買いに行ったらあちこちからもう夕飯の匂いがして
で、すぐ吸いたいのにライター忘れちゃって
ついでに買っちゃって。
見渡すと小さな商店街は小さなお祭りで
自治会のおじさんたちはもうテントでビール飲んで夕暮れ顔で
浴衣の少女が着飾ってて
お母さんとてんやわんや大騒ぎして着付けしたんかなあとか
女の子と合流したけど
ほんとは片思いの彼に見せたいんかなあとか
新居浜の花火大会でも
浴衣着たみゆきちゃんを自転車に乗せて
中萩から国領川(結構遠い)まで漕いだなあとか
ぼうっとした頭で
他人事のように考えていて
そしてその浴衣の少女の向こうで
少し怖いくらいのオレンジ色の夕陽が
まばゆく街を染めていたことを
あの上井草の風景を

今でも、ふと思い出します。