”編集”


『新しい彼氏のことがあるので、もう会うことができません。

メールも電話もしないでください。

4日の引越しの件、くれぐれもよろしくお願いします。

鍵は郵便受けの中に入れておいてください。

今までありがとう。

さようなら。』


”送信”



『俺とサカナさんどっちが好きなの』


『・・・』


『なんで黙るの』


『・・・Tさん』


『今の彼氏は誰』


『・・・』


『だから何で即答できないの!?』


『Tさん』


『じゃあ今の彼氏である俺のことをもっと尊重してよ。

サカナさんにもう会わないって言うメールを書いてよ。』




初に言っておきます。またしつこく言います。僕も愛しています。


こんなに辛い状況になっても僕の愛は留まることを知らず。一生変わりません。

あと僕がフユちゃんと約束したように、フユちゃんも僕と約束。

死なないで。死んでしまったら、ほんとに手のとどかないところに・・・

僕は途方にくれちゃう。迎えにいけないじゃないか。


これも約束。フユちゃんも一睡もしてないんだね。辛いよね。

そんなときは無理して物事を考えちゃ駄目だよ。マイナス思考になるから。


その人はいったい何の資格があって、そんなことを無理強いするんだろうか。

弱みに付け込む、そんな奴と居て、フユちゃんは心安らげるの?

僕はほんとに心配です。フユちゃんがもし僕の顔色を伺う仕種を見せたら、

僕は一生懸命にその懸念をふりはらって、フユちゃんを安心させようとするだろう。

そこに付け込むなんて。それは意識的だろうが無意識だろうが最低な奴だと思う。


フユちゃん サカナ君 仲良しこよし 永遠に変わりません

凄く会いたい 会って一目見るだけでも・・・

でも無理しないでその威張った男がうるさいから

水曜には出て行きます ほんとはまだ実感がわきません

でも母さんの前では絶対に弱音を吐きません 変な先入観持って欲しくないので


フユちゃんをまた板ばさみにしてごめんね 一番辛い立場なのに

フユちゃんに助け求めてごめんね 何もかもフユちゃんに求めてごめんね

もう会えないんだろうけど、瞳を閉じればいつでもフユちゃんの笑顔が

でも一緒に涙が零れます


あと二年 僕33 フユ31 まだまだ 充分若い

はたらいて帰宅して フユちゃんが子供とお出迎え 僕の幸せ・・・

フユちゃんの横に居るのは僕しかありえない 今でもそう確信しています

好きだというなら、その人の十年にもそれ相応の敬意があってもいいのでは

それが大事にする 大切にする 愛する なのでは

その男はやばいよ

いつか僕がこの後に及んで このことを繰り返していたことを思い出して

そして身を守って


おにぎり食べた あとは寝るだけ 夕方には起きて 荷造りするよ

もうその頃にはメール電話は厳禁だね

寂しいけど 僕等はいつでも繋がっている

好きだよ 心の底から愛している だから寂しくなんてないよ

人の顔色なんて伺わないで 脅えないで 安らいで


なんでその人は フユちゃんが悲しむメールを書かせたり

無理に約束というか命令したり するんだろう

フユちゃんがほんと心配です

おろおろしてないかな 泣かされてないかな 胃が痛くなってないかな

また無理強いされてないな と心配になります

もう側にいることは一時出来ないので そういった僕の思いが

少しでもフユちゃんに届くように 毎日毎日フユちゃんを思います

だから嫌なこと言われたり 辛い仕打ちをされたら

この僕がどこかでフユちゃんを思っていることを思い出して

フユちゃんはいつまでもサカナ君のフユちゃんで、

サカナ君はいつまでもフユちゃんの


絶対来年合格するから


そしてもう一度 アタックするから

合格したからではなく しっかりした僕を


全てに返事はいらないよ 少しでも仮眠とってね

頭痛は直ったかな 何か飲み物も飲んでね



フユは永遠というものになりたかった。


サカナ君とフユの子ども、そのまた子どもと


鎖がつながっていって・・・・


何十年かずっとずっと後に、


ある家の屋根の下で


二人の子孫が、


曾曾おじいちゃん・おばあちゃんのことを考える。


自分のルーツに思いを馳せる。


今生きていること、生まれてきたことが、


サカナ君とフユというカップルの存在に結びつく瞬間---


それこそが私の考える永遠。


何世代も繰り返し繰り返し、


祖先のことを想う子どもたちの間に


二人は在り続ける。


心の中に、キラキラと輝き続けることでしょう。



心残りは


この手に抱くはずだったサカナ君とフユの赤ちゃん。


ミドリと名づけるはずだった女の赤ちゃん。


それを思うと


空っぽの子宮が妙に所在無く---


キュウキュウと鳴いて。



この痛みがただただ哀しいのです。



言ったソバからの猛烈な後悔



とめどなく溢れる涙



熱い熱い渦の中にものすごいスピードで巻き込まれる



激流 濁流 煮たぎった燃える溶岩の流れに投げ落とされたよう



体が熱いよ


息ができないよ



大事な話をして良いかな。




フユは最近、これからの人生についてたくさん考えたよ。


フユはサカナくんと十年一緒にいた、


でもどうしてもどうしても結婚することができなかった・・・。


どちらかが結婚したいと言った時に片方はその気になれず、


そんなことが何度もあったね。


結婚についてもいっぱい話し合った。


披露宴はしなくても良いから一度だけでも親に挨拶を、


盆か正月に親戚に挨拶を、というフユと


入籍だけで良いというサカナ君。


二人とも妥協ができずに


結婚観に決定的な溝があることは解っていた・・・。


だんだんとフユとサカナ君は結婚できないんじゃないかと思ってきて


そしてそして


それでね



--- 『他に好きな人ができたの?』 ---



ホカニ、キニナルヒトガデキマシタ。



家出ができるのは帰る家があるからです


でも寄り道ばかりしていたら


帰り道が解らなくなってしまいました

この状況で気が狂わない人がいるだろうか

何度こんな地獄を味わえば許してもらえるのか

僕がひどいことや悪態をフユちゃんにつかないから

またふしだらなことをやったというのか

そんなふしだらな二人が結婚したり、人の親になるというのか

隠せるものなら、黙っておく それはどこまでも卑怯で、姑息ではないか

そんな二人が僕のこと肴に、ダシにもっともらしいことをいうとは何と滑稽

そして辛い辛い辛い 偽善ばかり

こんな風に毒づけば すんなりさよなら出来たと言いたいの

うらぎらなかったといいたいの あなたたちはどこまでも正義なの


自分たちの仕事はどこまでも大事なのに 僕の仕事中にこそこそと、

もっともらしい理由をつけて、逢引をかさねることはどうなの

僕が泣いているから 可愛そうなだけなの

肝心なことはうやむやで、自分たちに都合のいいようなことだけ 言って

後はあなたの問題

あまりに人格というものを無視

恋する二人は人一人を、もっとも残酷な方法で殺す資格があるというの

僕はいつでも死ぬほど きつい ねむい あごいたい と伝えなければ

存在は否定されるの



全部嘘です こんな風に僕も狡猾にいきます



気が変になりそうだ

水曜まで またもんもんと拷問だ

なんですぐにとんでこないんだ さぞかしごりッパなお仕事なんだろう

僕は苦しいよ 全て僕 僕 僕

僕のことを肴に盛り上がる ゲスな連中の醜い顔 顔 顔

誰一人僕のことなんて御構いなし

あるのは互いの歓心を引くことのみ

もう僕はやるよ 耐えられないよ 全てにふくしゅうするよ


つらいよ なんで浮気とかするの?

ずっと悩んでいたのに 時が解決するわけないでしょう

一生傷が残るよ 裏切られ 全てを失う しかも自分勝手な理由で

僕はそんなに邪魔だった?

フユちゃんは平気で何度も裏切るような人だったの

僕はそんな人と十年もいたの?

モラルはないの 可愛そうという気持ちだけなの

どんな理由があったら そういうことをすることが許されるの?

どこまで僕を騙すの?

心は痛まないの?

取り乱す僕を見るのが辛いだけ?

僕だって生きているんだよ

どこまで好き勝手をされれば僕は許されるの?


また一睡も出来なかったよ これが水曜まで続くんだよ

言わなきゃわからないんだよね

また自分たちに都合よく考えて 上からものを言うんだよね


もう 物事をひがんでしか考えられない もう無理だ 自分を保てない


(電話をかけようとした私に)


『あのなぁフユちゃん。

世界にはフユちゃんだけ生きてるんじゃないんだよ。

俺も生きている。

俺だって生きている。

ちょっとぐらいパニックになったからって

・・・

・・・

俺はパニクッちゃいけんのか。

文句を言っちゃいけんのか。』