『よし 解った


俺は充分に頑張った・・・頑張ったよ』


そう、頑張ってくれた。

一度目の別れ話のあと特に気遣ってくれて、

家事の手伝い、心のこもったたくさんのお手紙、説得・・・。


『奇特なことに、

私のことを拾ってくれるという人が現れて・・・』


『馬鹿やのうフユちゃん。

フユちゃんは本当に馬鹿やのう。

どうして自分をそんなに安売りするんだ。

拾ってくれるなんて卑下した考え方をするんだ。

君はとても魅力的なんだよ。

姿かたちが魅力的だから、言い寄る男もおるだろう。

でも本当に素晴らしいのは中身だ。

そいつらはそんなの解ってない。

でも俺は解ってる。俺が一番良く解ってるんだよ』


言わないと。

言わないと。

でも言えない、

傷つけるのが怖いから。

傷つくのがもっと怖いから。


『あのね。』

『あのね・・・。』


『よし先に俺から喋ろう!』


そして始まったいつもの他愛ない話。

身振り手振りで面白おかしく。

私、泣き笑い。

あぁはぐらかされちゃった。

でもまた別の機会で良いか、ホッとする自分。



『はい終わり。


・・・・・・


次は、フユちゃんが話す番だよ。』



私はこんな優しさに出会ったことは無い。

自分にとって決して聞きたい話ではないのを知っているのに・・・

とっかかりを作ってくれたのね。

話さないわけにはいかない。



『あのね


もう一度、もう一度やり直したいと手紙に書いたのだけれど


一度離れてしまったココロは元に戻ることができなくて


別れたいと


別れたいと


思っています』


問い詰めて

追い詰めて

詰問


どうして?


今のままで充分に楽しいよ


友達の話をされるたび

世間一般の話をされるたび

『普通』じゃなくてごめんね、って

心の中で思う



笑顔じゃないね

あなたと私

最近


焦らないで


まだ気持ちが付いていかなくて・・・


ゆっくり考えなね

いつまででも待つよ

俺と居れば大丈夫だよ、って

言ってくれたら良いのに

たぶんずっと考えていることは


『あなたは知っていたんじゃないの?』

『知っていて、助けてくれなかったんじゃないの?』


ということ。


知りたい。聞きたい。

知りたくない。聞きたくない。思い出したくない。

本当にあったことにしたくない。


また吐き気に悩まされる日々・・・

治っていたのにね。

でも好きなことだけして生きていけるわけ無いって分かってる。

わがままや甘えだって知っていても、

・・・会いたくないよー。

なんでこんなにイライラするんだろう・・・


自分の中でずっと警報が鳴り響いてる感じ・・・


おめでたいことに参加しに行くのだから


もっと晴れやかな気分になっても良いのに。


自衛のバリアが私を覆う。


たぶん今誰も寄せ付けない。

嬉しかったの


久しぶりに会えると思ったから


でもビジネスへの誘いで


随分がっかりとしてしまったよ


君が私に、自分のお気に入りのものをみせてくれる


って 気持ちは、よく解る


でも、今までの楽しかったこと、優しかったこと、


全部嘘だったの?


気分の悪い時に飲み物を差し出してくれたの


嘘だったの?



そうじゃないよね


そうじゃないって 言って


言ってほしいのに


聞けない


聞けないよ



のたうちまわる・・・


痛みの生物が体の中で暴れまわる


右から左 上から下へ


縦横無尽にかけめぐる


あっ こっちへ行った


次はあっち と


意識をはりめぐらせるな


知らないフリをしろ


なんでもない こんなことなんでもない


たいしたことはない


皆多かれ少なかれ不調を抱えている


完全に健康な人なんていない


100%の状態でなくても怠けてはいけない


やり過ごせ きっとできるから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『カシャ』


はい 人格交代


にこにこ笑うことができない


人を癒す余裕なんてない


自分が1番 自分に集中


痛みに集中 もうイッパイイッパイ


誰も居ないところに行きたい


息をついて壁にもたれかかりたい


苦しいのに『大丈夫』と言わなくてすむところ


つらいのに頑張らなくても許されるところ

いつまでこの痛みに耐えなければならないの?


頼むから誰か私と代わってくれ


この体 欲しい人にあげる


もう出ていきたい出ていきたい



胃の中のもの
全部全部吐き出して
体を駆け巡る恐怖に
悲鳴をあげた
制御不能な感覚
怖くて堪らなかったから
もっと強い恐怖で打ち消してしまいたかった
そして傷付ける
安堵
罪悪感
呼び戻される意識
どす黒い興奮
そして痛み

もう二度とあの場所に戻りたくないのです
だからできるだけ遠く離れようと思います