汽笛とともにあの人は去った。
 逝った訳ではないが二度と会えないと何故か確信してしまった。車窓から手を振る彼女は今も笑顔。これまでの幸せな日々の喪失による悲しみを私に感じさせないが如く、ただ、ただ笑って手を振っていた。彼女を殺した汽笛が憎かった。脚の無い私には彼女を追うことも、どうすることもできず、彼女に不安がられたくなくて笑い返した。彼女に笑顔を届け、最期の時まで糧にして欲しい、と祈った。
 遥か彼方の南方、沖縄に送られた。
 愛する國を守る為、そう言っていた。
 私は、何もできない私は彼女に救われた。その彼女が私の為に生きる。その言葉に救われた。