影法師 (講談社文庫)/講談社

¥700
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百田氏は本当に素敵なエンターテイナーだと思います。
「影法師」この作品はすでにあらすじだけで泣いてしまうくらいツボ。
それだけに、読まなくていいとさえ思っていたのですが。
なんとなく図書館で予約して、半年くらい待って、順番回ってきたので読みました。
案の定、号泣。
■
人生ってなんだろうなって思いますね。
一番恵まれているのは、生まれも育ちも能力も容姿も恵まれていて、かつ自分のやりたいことがあって、それを成せる人でしょうね。
大多数の人は、生まれつきのスペックも低ければ、高める気もないし、かつ、やりたいことがなーんにもない(テレビを見るとかおいしいラーメン食べるとかそういう虫けらみたいな欲望だけな)人でしょうね。
だからこの消費社会が成立しているわけで。
一番かわいそうなのは、やりたいことがあるのに、何かに恵まれないこと・・・
百田氏は、対比が本当に上手。
あの「永遠のゼロ」もそう。
自分を殺して、相手を活かす、相手の生の中に自分を生かすというべきか。
今回は読みながら、ものすごいデジャヴでした。
実は本編を読む前に散々書評を読んでいたので「どうして彦はそれだけの能力も門地もあったのに、自分で大志を成さなかったのか、おかしい」という意見がひっかっていました。
いやーそういう意見しか持てない人ってちょっとかわいそうだなって思ってしまいました。
そうじゃないんだなー
そうじゃないんだよーたぶん。
彦は確かに優秀だったし、もしかしたらそれなりにうまく行ったかもしれないけど、でも、彦には彦はいなかったんだよ。
後ろを守れる人はいなかった。
それに気付いたからこそ、彦は勘一の影になることにしたわけで・・・
自分だけの力で成し遂げられると思ってたなら彦はこんなすごい男として描かれてないってば。
■
百田氏の何が好きってナチュラルに男尊女卑なところですよね。
女が幸せになるかどうかは男とのめぐりあわせ次第という。
女の幸せは結婚して子を成すことって云い切っちゃう。
時代モノだから?いえいえ。彼は心の底からそう思ってますよw
しかも、美人じゃない女は視界に入らないという・・・
でもまあ、別にいいと思います。
ちゃんと奥さん大切にしてるみたいだし。
■
現代だって、こんな男たちばっかりだったら、みんなどんどん結婚してサポートするだろうに。
この話は取るに足りない7万石の藩の話だけど。
現代の日本だって、イシューは掬っても掬っても尽きないほどあるわけで。
日本には資源がない。
正確にいうと、海底資源はあるけど、コストの面で競争力が現時点でほぼない。
だから、本当は人間を育てなきゃいけないのよね。
出稼ぎ外国人と価格競争に陥ることがわかりきってるような低レベル低賃金な単純労働の非正規雇用に大切な妻や母親を駆り出すよりも、次世代を育てるべきなんじゃないのかねー
だって、母親が付いている子供って、経験できることが全然違うから。
習い事だってそうだし、好奇心をどうやって形にしていくかって、そばで見守っている大人がいなきゃ限界がある。
それが赤の他人じゃ、質問したことに答えてもらえなかったり、可能性の目を摘んでしまうことになる。
この世に聖職なんて、ないからね。
生臭い坊主に神主、医師、ついでに教師。
教師なんて、ホントに腐ってるからね。
まだ自分の好き嫌いで差別するならいい方で、親のバックグラウンドとか、もっとひどいと、フツーにお中元とかお歳暮の金額で対応が変わるからね。
人間だからしょうがないけどさー
私本当にイヤだったもん。
なになにさんちのなになにちゃん、みたいに、子供なのに気を遣われてぺこぺこする人とかいて。
いや、丁重にしてもらうのがいやなんんじゃない。
お店とかなら気にならない。上得意の娘にはそうする方が商売上の利益があるんだろうし。
でもさ、教師は、わけへだてない対応をするべきじゃないの?
身近にいる目上の人を尊敬できないのが、一番きつかったなー
中学からは私立で、うちなんかよりもっとすごい家の子ばっかりだったから、そういう面では気を遣われなくなってよかったけど、今度は進学校だったから、成績が馬鹿みたいによかった私はまた特別扱いで、めんどくさかった。
勉強なんて、やればできるじゃん・・・
別に成績よくてもえらくもなんともないのに。
ちやほやされても、なんだかなーって感じでした。
■
私の男嫌いどころか人間不信の根っこって実は結構深いのかもって思わされたお話でした。
いやー泣けましたけどね。
文庫版で読んだので、最後の袋とじまで読んじゃったんだけど、これは少し蛇足だったかもなあ・・・
ここは読者に任せてほしかったかなと思いました。
もちろん、泣きはしたんですがねー
お願いだから変なキャストで映像化することだけはやめてくれ!と切に願う今日この頃です。
向井氏バージョンの永遠のゼロは怖すぎる。
まだ観るかどうか決めてません。
連続ドラマかと思いきや、3夜連続と聞いてちょっとほっとしてたりします。
■
あーこの話で一番心に響いたのって、これほど剣の腕もあり、学問にも秀でていた彦でさえ、身元を保証してもらえない浪人の身では幸せには縁遠かったってくだり。
これ、多くのハローワーカーにもいえますよね・・・
何か専門的な能力があっても、学歴があっても、一度ドロップアウトしてしまうと、戻るのは容易じゃない。
江戸時代も今も全然変わってないじゃんw
そこから抜け出すためには相当な幸運、ということは作中何度も言われてて、読んでて切なくなったわ・・・
女はまだ女の武器が(何歳まで通じるかは別として)あるけど、男なんて、ホント、大変だよね、一度失業しちゃうと。
同情します。
でもまあ、ブラック企業で遣い潰してもらえるという道があるのはうらやましいような、全然うらやましくないような・・・

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百田氏は本当に素敵なエンターテイナーだと思います。
「影法師」この作品はすでにあらすじだけで泣いてしまうくらいツボ。
それだけに、読まなくていいとさえ思っていたのですが。
なんとなく図書館で予約して、半年くらい待って、順番回ってきたので読みました。
案の定、号泣。
■
人生ってなんだろうなって思いますね。
一番恵まれているのは、生まれも育ちも能力も容姿も恵まれていて、かつ自分のやりたいことがあって、それを成せる人でしょうね。
大多数の人は、生まれつきのスペックも低ければ、高める気もないし、かつ、やりたいことがなーんにもない(テレビを見るとかおいしいラーメン食べるとかそういう虫けらみたいな欲望だけな)人でしょうね。
だからこの消費社会が成立しているわけで。
一番かわいそうなのは、やりたいことがあるのに、何かに恵まれないこと・・・
百田氏は、対比が本当に上手。
あの「永遠のゼロ」もそう。
自分を殺して、相手を活かす、相手の生の中に自分を生かすというべきか。
今回は読みながら、ものすごいデジャヴでした。
実は本編を読む前に散々書評を読んでいたので「どうして彦はそれだけの能力も門地もあったのに、自分で大志を成さなかったのか、おかしい」という意見がひっかっていました。
いやーそういう意見しか持てない人ってちょっとかわいそうだなって思ってしまいました。
そうじゃないんだなー
そうじゃないんだよーたぶん。
彦は確かに優秀だったし、もしかしたらそれなりにうまく行ったかもしれないけど、でも、彦には彦はいなかったんだよ。
後ろを守れる人はいなかった。
それに気付いたからこそ、彦は勘一の影になることにしたわけで・・・
自分だけの力で成し遂げられると思ってたなら彦はこんなすごい男として描かれてないってば。
■
百田氏の何が好きってナチュラルに男尊女卑なところですよね。
女が幸せになるかどうかは男とのめぐりあわせ次第という。
女の幸せは結婚して子を成すことって云い切っちゃう。
時代モノだから?いえいえ。彼は心の底からそう思ってますよw
しかも、美人じゃない女は視界に入らないという・・・
でもまあ、別にいいと思います。
ちゃんと奥さん大切にしてるみたいだし。
■
現代だって、こんな男たちばっかりだったら、みんなどんどん結婚してサポートするだろうに。
この話は取るに足りない7万石の藩の話だけど。
現代の日本だって、イシューは掬っても掬っても尽きないほどあるわけで。
日本には資源がない。
正確にいうと、海底資源はあるけど、コストの面で競争力が現時点でほぼない。
だから、本当は人間を育てなきゃいけないのよね。
出稼ぎ外国人と価格競争に陥ることがわかりきってるような低レベル低賃金な単純労働の非正規雇用に大切な妻や母親を駆り出すよりも、次世代を育てるべきなんじゃないのかねー
だって、母親が付いている子供って、経験できることが全然違うから。
習い事だってそうだし、好奇心をどうやって形にしていくかって、そばで見守っている大人がいなきゃ限界がある。
それが赤の他人じゃ、質問したことに答えてもらえなかったり、可能性の目を摘んでしまうことになる。
この世に聖職なんて、ないからね。
生臭い坊主に神主、医師、ついでに教師。
教師なんて、ホントに腐ってるからね。
まだ自分の好き嫌いで差別するならいい方で、親のバックグラウンドとか、もっとひどいと、フツーにお中元とかお歳暮の金額で対応が変わるからね。
人間だからしょうがないけどさー
私本当にイヤだったもん。
なになにさんちのなになにちゃん、みたいに、子供なのに気を遣われてぺこぺこする人とかいて。
いや、丁重にしてもらうのがいやなんんじゃない。
お店とかなら気にならない。上得意の娘にはそうする方が商売上の利益があるんだろうし。
でもさ、教師は、わけへだてない対応をするべきじゃないの?
身近にいる目上の人を尊敬できないのが、一番きつかったなー
中学からは私立で、うちなんかよりもっとすごい家の子ばっかりだったから、そういう面では気を遣われなくなってよかったけど、今度は進学校だったから、成績が馬鹿みたいによかった私はまた特別扱いで、めんどくさかった。
勉強なんて、やればできるじゃん・・・
別に成績よくてもえらくもなんともないのに。
ちやほやされても、なんだかなーって感じでした。
■
私の男嫌いどころか人間不信の根っこって実は結構深いのかもって思わされたお話でした。
いやー泣けましたけどね。
文庫版で読んだので、最後の袋とじまで読んじゃったんだけど、これは少し蛇足だったかもなあ・・・
ここは読者に任せてほしかったかなと思いました。
もちろん、泣きはしたんですがねー
お願いだから変なキャストで映像化することだけはやめてくれ!と切に願う今日この頃です。
向井氏バージョンの永遠のゼロは怖すぎる。
まだ観るかどうか決めてません。
連続ドラマかと思いきや、3夜連続と聞いてちょっとほっとしてたりします。
■
あーこの話で一番心に響いたのって、これほど剣の腕もあり、学問にも秀でていた彦でさえ、身元を保証してもらえない浪人の身では幸せには縁遠かったってくだり。
これ、多くのハローワーカーにもいえますよね・・・
何か専門的な能力があっても、学歴があっても、一度ドロップアウトしてしまうと、戻るのは容易じゃない。
江戸時代も今も全然変わってないじゃんw
そこから抜け出すためには相当な幸運、ということは作中何度も言われてて、読んでて切なくなったわ・・・
女はまだ女の武器が(何歳まで通じるかは別として)あるけど、男なんて、ホント、大変だよね、一度失業しちゃうと。
同情します。
でもまあ、ブラック企業で遣い潰してもらえるという道があるのはうらやましいような、全然うらやましくないような・・・