読むスピードがなかなか上がらなくてフラストレーションがたまっていた頃、たどりついたのがペンギンリーダーズでの多読。記念すべき第一冊は、大好きな女優、オードリーの人生をかけ足で描いたものです。思い入れのある女優さんだからか、彼女の生きざまの素晴らしさゆえか、何度読んでも泣けます。

PENGUIN READERS2: AUDREY HEPBURN (Penguin Reade.../Pearson Education ESL
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なんせ写真入れても本文は24Pという薄さなのでいろいろと取捨選択されているけれど、ポイントは抑えてくれています。表紙も奇麗なんですが、中もカラーで、映画のパブリで使われたものや有名なシーンの写真、あとジバンシーとのショットもあって、楽しめました。


「ローマの休日」

「麗しのサブリナ」

「ティファニーで朝食を」

「マイフェアレディ」


このあたりはメジャーなので、観たことはなくともタイトルやパッケージはわかる方が多いと思いますし、晩年、ボランティアに身をささげていたことは常識に近いとは思いますが、実際、彼女の人生がどんなものだったのか、全然知らないなーという人も同じくらい多いんじゃないでしょうか。


まさに彼女は「アンネの日記」の著者、アンネ・フランクと同世代。ユダヤの血を引いてはいなかったけれど、抗ナチ運動に参加していたので、一歩間違えば犠牲となった可能性もある。生と死が隣り合わせの戦時下、そして終戦後の混乱、バレリーナとしての挫折から、オスカーとトニーを同年に受賞するという快挙を成し遂げ(おそらくこれは未だに空前絶後)、華やかなハリウッド生活よりも欧州で静かに家族との時間を優先しようとするが2度の婚姻に失敗(ミスマッチの上、相手も悪かった)、晩年は、自身の食糧不足体験を踏まえてアフリカの飢餓対策のボランティアへ。最後のクリスマス、最後に遺した言葉・・・


彼女の人生はとても濃密で、彼女について書かれた本を読んで泣かないことはありません。おそらくどの著書も、著者の思い入れが少なからずこめられているからでしょう。


アンジェリーナ・ジョリーのニュースを見聞きするたびに、オードリーを思い出すんです。二人に共通するのは、女優である前に一人の女性であり、一人の人間として自分の人生を客観的に見つめていること。それこそいっそ冷徹なくらいに。二人の違いは、バランス感覚と演出の意図の有無かなと。


アンジーは女優としての自分と、女性としての自分、人間としての自分のバランスをうまく取っていると思います。それこそ、オードリーの時代よりよほど複雑になった世の中で。それは単純にすごいとは思います。尊敬します。でも、そこに憧れや共感は正直、まったくないんですよね・・・


いやいや。アンジーは素晴らしく魅力的な女優さんだと思いますし、封切りは全部劇場で観ているくらいのファンでして、否定する意図はまったくないのですが。


つまり、何が言いたいかというと、この薄い紙の束(本とは言えないw)は、オードリーファンであっても楽しめるし、そうでない方には彼女の人生がコンパクトに詰まっていてお薦めですよってことです。


彼女は1993年1月20日に永い眠りにつきました(ノ_-。)