百人一首を覚えましょう  94、み吉野の~ | うさぎのしっぽ 猫のあしあと

うさぎのしっぽ 猫のあしあと

つれづれなるままに…思いついたことを思いつくままに書いてます。新米ママなので最近育児日記化してます…^^;
旅行の話、音楽やディズニーやフィギュアスケートなど、好きなことを気ままに書こうと。食べ物・時事ネタ何でもアリ。
ほとんど自己満足なような…

これも本歌取りの一首です。


み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣うつなり             参議雅経



これからの季節を思わせる、寒く寂しい歌です。


もとになった歌は、万葉集の「み吉野の山の白雪つもるらし ふるさと寒くなりまさるなり」という歌。


こちらは冬だったんですが、それを作者は秋から冬へ移る季節に詠みかえたんですね。


「み吉野」の「み」は、接頭語で、特に美しく地名を指していうときに使います。


「さ夜ふけて」 小夜ふけて 夜も更けて。


「ふるさと寒く」 昔都のあったこの里は、寒さが身にしみて、というような意味。


ここでいう「ふるさと」は、、古跡や昔都があった土地、以前特別なことがあった土地をいいます。


「衣うつなり」 衣を打つ砧の音がすることよ。


「衣打つ」は、布をやわらかくするために、石や木の台の上で木槌で打つことをいいます。


どうやら、秋の夜なべの仕事だったらしいです。


吉野の山に秋風が吹くころ、夜も更けて、昔都があったこの里は、寒さが身に染みて、どこからか衣を打つ砧の音がすることよ。


というような意味になります。


秋も深まって、寒さが身に染みる頃、秋の夜なべ仕事の音がどこからともなく聞こえる…そんな寂しい秋の夜の情景が伝わってきます。


吉野は桜や雪で有名な土地ですが、それが落ち葉も終わったような秋の情景になることで、


山の奥の里の寂しさが前面に出てくるような感じがしますね。


作者の藤原雅経は、新古今集の撰者の一人ですが、とても才能ある人だったそうです。


歌の才能もですが、書もうまく、また音楽や蹴鞠の才能にも恵まれていた人だったんだとか。


特に蹴鞠の才能は秀でていて、「飛鳥井流」という蹴鞠の名門の家を立ち上げた人物でもあります。


ちなみに、実朝とも親しかったらしく、実朝に定家を引き合わせたのもこの人だったと言われています。


どこにどんな縁があるかわからないですね。