早川義夫と宍戸幸司とヤマジカズヒデ | 諸々の昼休み

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日々の諸々

早川宍戸ヤマジ01

2015年9月4日、
渋谷「Last Waltz」にて
「僕ときみ、そして音楽」と
冠されたイヴェントが
開催されました。

出演者は、
早川義夫、宍戸幸司、
ヤマジカズヒデの三氏。

今回は早川・宍戸両氏が
それぞれに弾き語りを披露し、
そこにヤマジ氏がギターで
ゲスト参加するというスタイル。
又、三者によるセッションも
披露されました。

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まず最初は、宍戸幸司氏のソロから。

ステージ上手側の袖より
現れる宍戸氏。
そして中央に据えられた椅子に
腰を掛け、演奏は始まる。

たゆたうスロウなギター、
そして歌が聴こえてくる。

宍戸氏が繰り出す音は、
この日も不変でした。

「割礼」のようなバンドでも、
今回のようなソロの
弾き語りであっても、
氏のスタイルは変わらない。

サイケデリックでストレンジな
音の風景。
そして、ゆるやかに脈打つビート。

それはいつでも同じ。

これは、強靭な意志を持ってしか
成り立ち得ないことでしょう。

しかし、宍戸氏の佇まいは
そんなことを一切感じさせません。

あくまでも自然に、
己がスタイルを淡々と披露する。

そこが宍戸氏の粋なところ。

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宍戸氏のステージ終盤より、
ヤマジカズヒデ氏がギターで参加。
「メタモル」
「ゆれつづける」
「ゲーペーウー」
以上3曲が二人で演奏されました。

ギターは共にファズを利かせ、
リードとサイドを交互に替えて行く。
2つの個性は際立つものの、
コンビネーションは抜群でした。

やはり長年の付き合いに
よるものでしょうかね。
ここは阿吽の呼吸でした。

そしてdipでもカヴァーしている
「ゲーペーウー」。
この曲は、特に盛り上がりを
みせましたよ。

私の体も揺れる、揺れる♪

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そんな宍戸氏のステージが終わり、
客席に明かりが灯る。

ここで一旦休憩。

次なる早川義夫氏の登場を
待つこととなりました。

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幕間が終わり、
再びステージに照明が灯る。
そして早川氏が登壇する。

舞台の下手側には
グランドピアノがあり、
氏はそちらに向かった。

ここより、早川義夫氏の
弾き語りが始まりました。

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早川氏は序盤、
愛の歌だけを唄いました。

老いらくの恋を描いた「パパ」。
亡き父への思いを綴った
「父さんへの手紙」等を。

情愛、性愛、家族愛。

愛にはそれぞれ違う貌がありますが、
その様々な側面を、
歌とピアノは描いて行きました。

それは、時に雄雄しく、
時に慈愛に満ちて。

早川氏の歌には、思った以上に
「男性性」が溢れていました。

老境を迎えても尚、こんなに
力強い歌が唄える。

そのことに驚きを感じ、
又、感銘を受けました。

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今回、早川氏単独では
ソロの楽曲を披露。
そして、ジャックス時代の曲は、
終盤のセッションで披露されました。

そんな終盤の前に、ちょっとした
出来事がありました。

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早川氏が一人のステージを終え、
宍戸幸司、ヤマジカズヒデ両氏を
呼び込む。

ヤマジ氏はすぐさまステージ袖から
現れたが、宍戸氏はなかなか
出て来ない。

そんな様子に早川氏、
「宍戸さんは音楽もゆっくりだけど、
 他もそうなのかな?」
みたいな事をにこやかに仰る。

客席からも笑いが漏れ、
ステージ上の二人も笑顔。

そして宍戸氏がようやく登場。

すると早川氏が宍戸氏に質問を
投げかける。
「音楽以外もゆっくりなの?」
すると宍戸氏は
「普段そうではない分、
 音楽はゆっくりやろうかなと…」
といった返答をし、
再び会場は笑いに包まれました。

そんな和やかな雰囲気もあったのです、
この日には。

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終盤はセッションとなりました。

まずはジャックスの曲、
「からっぽの世界」を
早川氏と宍戸氏で演奏。

今回のメンツを考えた時、
やっぱりこの曲は演るだろうなとは
思っていましたが、
私が想定していたのは
ギターがヤマジカズヒデ。
しかし、これは宍戸氏に
取られてしまいましたね。

…かつてこの曲は、一部の歌詞が
差別的として「放送禁止」の
憂き目にあっていました。
更に早川義夫氏が音楽活動を
休止していたこともあり、
長らく聴く機会に恵まれず。

そんな経緯がありましたが、
今はこうやって聴くことが
出来る。
やっぱりこれは幸せなことだと
思いますね。

早川氏と宍戸氏が奏でる
水面下の囁き。

この夜も、
「からっぽの世界」は
物憂げに響き渡りました。

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その後は早川・ヤマジ両氏の
セッション。
「君でなくちゃだめさ」
「花が咲いて」
の2曲が披露される。

「君でなくちゃだめさ」での
ヤマジ氏のギターは、
只々格好良かったです。
それはブルーズ・ロック!
ファンキーなリフが
繰り出されました。

続いての「花が咲いて」。
こちらは一転してのバラード。
ヤマジ氏はファズ・ギターを奏でる。
それは早川氏の歌に、
そっと寄り添いました。

荒野を吹き抜ける風。

そんな印象を抱かせるギターの音。

昔、ヤマジ氏が作った楽曲で
「to here never come」という
ナンバーがありますが、
そこで聴けるギターの音色に
近しい感じだったかな。

早川氏の歌とピアノ、
そしてヤマジ氏のギター。
ここでは寂寞感を湛えつつも、
力強さを感じさせました。

2曲はそれぞれに違った「貌」を
覗かせましたが、どちらに於いても
早川・ヤマジ両氏の
コンビネーションは最高でしたね。
素晴らしかった。

そして、この後は三人全員で
「埋葬」が奏でられた。

全ての音は夜の闇に溶けて行く。

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ライヴ本編はこれにて終了。
演者もステージから
立ち去りました。

しかし、
客席からは拍手が鳴り止まない。

もうここで
終わる予定だったのですが、
そんな拍手に応える形で
予定にはなかったアンコールが
始まったのです。

やったぜ~♪

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そんな嬉しいアンコールの始まりは、
ヤマジ・宍戸コンビから。

ステージに現れた二人。
急遽打ち合わせを行い、
宍戸氏がたった一言だけ発する。

「セントルイス・ブルーズ」と。

二つのギターは絡み合い、
そんなオールディーズを
奏でました。

さて、その後は早川氏も登場。

早川氏は登壇の際に、
先にステージに居た両氏に
一枚の紙を手渡す。
そこには次なる曲の
コード進行が書かれていました。

という訳で、この後は
ほぼ即興に近いような形。
三者は自由な発想で
音を描いて行きました。

奏でられた楽曲は、
「堕天使ロック」

曲は定型を崩し、さながら
フリー・ジャズのような面持ち。

特に、宍戸・ヤマジ両氏は
伸び伸びとギターによる轟音を
繰り出していました。

そんな二人を
早川氏はにこやかに見守る。
雄雄しき歌とピアノを奏でながら。

荒ぶる音とは裏腹に、
それは微笑ましい光景でした。

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さて、以上をもって
この日のライヴは終了。

とても濃密な夜でした。

今回、早川義夫氏と
ヤマジカズヒデ氏は
初共演だったのですが、
とてもそうとは思えない
相性の良さと、
リラックスしたムードが
ありました。

これは早川氏の人徳ゆえと
思われますが、
他にも宍戸幸司氏の存在が
大きく作用していたのでは
ないかな?

例えば、
早川・ヤマジ共演時の選曲は、
宍戸氏がされたそうです。
そして、それは見事に
嵌っていました。

宍戸氏、慧眼です。

その鋭い洞察でもって、
早川氏の楽曲と
ヤマジ氏のギターを
深く理解されているからでしょうね。

この日、この場を
コントロールしていたのは、
宍戸幸司氏だったのかもしれない。

そんな絶妙なバランス感覚が
見て取れるイヴェントでした。

今回の組み合わせ、一度きりで
終わるのは勿体ない。

又の再会を期待しています。
是非ともこの三人で!



早川宍戸ヤマジ02