麻黄は昔から節と根を去って

用いるとされています。


西暦500年ごろには、


「麻黄を用いるには節根を折り去り、

水で煮て十餘沸(十数回沸騰させる)

するのだが、その時竹片で

上に浮かぶ沫を掠め去る。

沫は煩を起こさしめ、

節根は能く汗を止めるものだからだ」

といわれていました。


このように麻黄の根と節は茎(節間)の

発汗作用とは逆の止汗作用が

あるとされています。


さらに麻黄根には血圧降下、

呼吸興奮といった作用もあり、

麻黄とは逆の薬効をもつことが

確かめられました。


今後は節のところの成分も

研究する必要があるでしょう。
 さらに漢方では、麻黄は配合する漢薬によって異なった作用を発挿するといわれています。例えば、桂皮を配合すると風寒を解き、発汗、散表の効(皮膚から熱を発散させる効果)があります。「麻黄湯」が体力のある人の風邪に用いられるのはそのためです。また乾姜を配して肺を温め、飲を化し(水分代謝を盛んにする)ます。「麻杏甘石湯」のように杏仁を配して咳を止め、喘鳴をしずめ、石膏を配して肺中の熱を泄し、口渇を止める作用があります。さらに附子を配して経を温め、寒を散じ、白朮を配して滲湿(水分の出をよくする)、利水の作用があるとされています。これらの複合作用には配合する漢薬の効果が比較的強く出ているように思われますが、今後さらに化学的研究を進めていかなければなりません。