「私の男」は、2014年6月に公開された日本映画です。
そのセンセーショナルな内容で話題になった原作は、桜庭一樹による小説です。
監督は熊切和嘉さん。
主演は、浅野忠信さんと二階堂ふみさんが務め、脇をモロ師岡さんや高良健吾さん、藤竜也さんといった新旧名優たちが固めています。
この映画は、その年のモスクワ映画祭で最優秀作品に輝き話題となりました。日本映画が受賞するのは、黒澤作品以来という、まさに快挙でした。
物語は、腐野淳悟(浅野忠信)と腐野花(二階堂ふみ)の父娘の物語ですが、一筋縄には行きません。実は2人に血のつながりはなく、それが故に2人の関係は親子から、男女のものへと移ろって行きます。
またそれを知った親戚の大塩(藤竜也)が不可解な死をとげ、物語は徐々にサスペンス色を強めていきます。
この映画の最大の魅力は、監督の熊切和嘉さんといえるでしょう。
彼は40代前半ながら、その熟練した演出力に定評があります。
彼の映画には、どこか昔の古き良き「映画」の匂いがします。そしてその中には必ず男の物語が存在します。
彼は大阪芸術大学で映画を学び、その後ぴあフィルムフェスティバルを経て、プロになりました。
アマチュア時代から変わらぬ骨太な作品作りは、この作品でも健在です。
テレビドラマの延長のような映画ばかりが目立つ現在において、貴重な「映画」監督といえるでしょう。
物語としては、中盤にやや中だるみする箇所が見られますが、それ以上に彼の演出、そして流氷漂う北の海にダイブするといった、まさに体を張った演技でそれに答える二階堂ふみさんの演技が光る、良作です。
