肩ごしの恋人 (文庫本) 唯川 恵:著 | なんとなくシアワセなお買い物

肩ごしの恋人 (文庫本) 唯川 恵:著

著者: 唯川 恵
タイトル: 肩ごしの恋人

直木賞受賞作のこの小説。

二人の女性と彼女らにかかわる五人の男性の物語です。
あなたが思う自分は、「るりこ派」?それとも「萌派」?
でも、女性はきっとみんな、どちらも内に秘めていると思うんです・・・。

女であることを武器にして、トラブルにめげることなく、ある意味、常に前向きに生きていくタイプの自称:鮫科の女、るり子。

女であることがプラス要素には思えず、意志が強く冷静で常に現実的に生きていく、自分すら信用しないという萌。
考え方も生き方も違うこの二人が、とある出来事をきっかけに、それまでの自分では想像もしなかった道を歩み始めるというストーリー。

この小説が気に入ったのは、所々に、そうそう、それってわかる・・・って言葉や気持ちが綴られているから。
たとえば、

「女はいつだって、女であるということですでに共犯者だ。」

これは、萌とるり子の会話を聞いた男性から、「女同士のそういうとこ、男には理解できないなぁ・・・」と言われた時に萌が思ったこと。これに共感を覚える女性は多いのでは?

また、

「るり子さんは今、抱かれたいんじゃないと思うな。きっと、抱きしめられたいんだ。」

これはるり子が、これまでとなにかが違う感じに自分でも気づかない不安で落ち着かない気分だった時に、年下の男の子から言われた台詞。
切なくなるようなニュアンスの違いが胸に響きます。

著者の唯川恵さんの言葉のセンスに恐れ入りました。
恋 と 幸せ と 男 と 女。
当たり前の日常に、ほんの少し、非日常の感情のスパイスを。


●文庫: 331 p ; サイズ(cm): 15 x 11
●出版社: マガジンハウス
●価格: ¥630 (税込)