失敗学のすすめ (文庫本) 【Amazon.co.jp】
- 著者: 畑村 洋太郎
- タイトル: 失敗学のすすめ
TV番組:「世界一受けたい授業」をご存じですか?
現役で活躍中の各業界の専門家が講師として出演し、小難しい話ではなくて、とーっても身近に感じられる例を挙げたり実験をしたりして、生徒として出演している芸能人とTVの前の視聴者の興味を引き出してくれる、おもしろい番組です。
司会は、校長先生役の堺正章、そして教頭役のくりーむしちゅーの上田さん。
生徒の中には学級委員長役のくりーむしちゅーの有田さんがレギュラー出演してます。
毎回、実生活に即したテーマや、へぇ~そんなの知らない世界だなぁ~ってテーマなので、ついつい見ちゃいます。ごらんになったことのない方、一度見てみてくださいね♪
さて、前置きが長くなりましたが、この「失敗学のススメ」の著者である畑村 洋太郎さんは、2月の放送で講師をなさってた方です。日本の事例にとどまらず、世界中で起こった過去の大事故などから学んだからこそ今の技術があることや、失敗には良い失敗と悪い失敗があり、良い失敗というのはチャレンジした結果の失敗のことを指す、とか、常々、事に当たる前に、そこで起こりえるマズイ状況(仮想的な失敗)をあらかじめたくさん予想し対応を考えておくことがいざというときにすぐに行動を起こす力となります、とか、そっかぁ・・・と納得するお話満載でした。
そんな畑村さんのお書きになったこの本では、とっさの判断力や創造力を養う失敗経験を教育に取り入れることをすすめられています。起きてしまった失敗に積極的に取り組んでうまく生かせば、その後の創造の大きなヒントにもなること、忘れちゃいけませんね。
Amazon.co.jp 作品データ
世界の三大失敗をご存知だろうか。タコマ橋の崩壊、コメット飛行機の墜落、リバティー船の沈没…。これらは人類に新たな課題を与え、それと向き合うことで我々はさらなる技術向上の機会を得た。一方日本では、JCO臨界事故、三菱自動車のリコール隠し、雪印の品質管理の怠慢など、失敗の隠匿がさらなる悲劇を引き起こした。
本書によると、失敗は、未知との遭遇による「良い失敗」と、人間の怠慢による「悪い失敗」の2種類に分けられる。不可避である「良い失敗」から物事の新しい側面を発見し、仮想失敗体験をすることで「悪い失敗」を最小限に抑えることが重要である、と筆者は説いている。
また、過去の豊富な例から学ぶことで失敗の本質を多角的に検証する方法や、時間がたつと形骸化してしまう失敗例を効果的に伝承する方法についても言及している。さらに、マニュアル化した対応方法では前例のない事態が生じたときに対応できなくなるとして、とっさの判断力や創造力を養う失敗経験を教育に取り入れることを提唱する。
本書は、親しみやすい入門書の形で我々に「失敗学」の重要性を伝えている。世界の失敗の歴史についても多く扱っているので、読み物としても楽しめる。(佐藤敏正)
【おもな内容】
●「失敗学」に基づく東大機械科の学習法
●失敗には階層性がある
●よい失敗、悪い失敗
●失敗は成長する
●失敗情報は隠れたがる
●「偽ベテラン」と「本当のベテラン」の違い
●大切なのは仮想演習をすること ほか
●価格: 1,680円 (税込)