ホンダから郵便が届いた。
6ヶ月点検の案内は先日届いたし、一体何だと思って開いてみたら、9月に発売されるPreludeの案内だった。
なんでも「当面生産台数が限られる」ので抽選販売となるらしく、その案内と応募用紙だった。
プレリュードと言えば、茨城県の神栖町(当時)に転勤となって、1日20~22時間労働を満喫していた頃、一緒に仕事をしていた人が「この車(2代目プレリュード)が欲しい」ってずっと話していた事を今でも思い出す。
お世話になった方で、その車に乗ってプロポーズするみたいな話をず~~~~~~っとしていたので印象に深いんだ。
この当時のプレリュードは別名「デートカー」と言われるくらいもてはやされていたから、その気持ちは分からなくもないかな。
私もいいな、欲しいなと思いつつも、1日20時間土日無しに会社にカンヅメにされている身としては、いつ車に乗るんだよって気持ちしかなくて、当時は会社から支給された(田舎に行くんだから車くらい会社で用意しろよ!と交渉した)10年落ちくらいのホンダ アコードハッチバックなんかに乗っていて、新車を買うなんて気持ちに余裕が全くなかった時だから「へー(棒)」程度の相槌を打っていたなぁ。
その仕事が終わって東京に戻る頃、会社から「そろそろその社用車は後輩に渡したいので自分で車を調達してくれ」と言われ、仕方なく車を買う事にした。
この時「じゃあ、プレリュードでも買うか」としていれば、私の人生も少しはまともな方に変わっていたかもしれない(逆方向には振れる気がしないくらいどん底にいたと思う…いや思うだけで下にはしたがあると思うけれどね)。
ここで今はもう付き合いを切った、当時トヨタの営業をしていた友人がどこからともなくその話を聞きつけ「車を買うなら俺から買え。友達ならな」と強引に迫ってきた。
そんな押しに、当時の私は深く考える事もなく「おっけー」と安請け合いをして車を買ったんだ。買ったのはカローラの4WD。
当時のカローラだからね、もうおっさん車そのもの。
値段も手頃。でも雪国に行くかもしれないって事で4WDだけは譲らんかった。
今でも「なんであのときこんな車を選んじゃったかね」と思うよ。
トヨタでももっと魅力的な車あっただろうに…いや、それよりも今は違うのだけれど当時のトヨタ車って私に全く合わず、どの車種に乗っても30分程度で腰が痛くて我慢が出来なくなる。椅子の設計が宜しくなかった…少なくとも私の腰との相性が最悪だったんだ。
それなのにカローラ?
不思議な選択だった。
で、2週間後に納車ですって時に会社から「本社に戻って」と事例が来た。
「車は?」
「知らんがな、東京で乗れば宜しかろう?」
「無理、東京の生活で車を維持できる給料払ってくれるんか?」
「うんにゃ。今までの規定通り」
「…」
って事で、結局、納車前に友達に買値の半額程度で譲り渡した。
まぁ、茨城で稼いだあぶく銭で買った車だから仕方あるめぇと諦めた。
しかし不運?はそれだけに留まらなかった。
茨城から東京に引っ越す際、引っ越し業者に渡すために別に置いといた現金要り封筒は紛失しちゃうし。
ぶっちゃけた話、東京での給料は当時手取りで23万円程度だったのだけれど、茨城転勤の時は新しくそちらで興す会社のスタートメンバーって事、僻地(申し訳ないけれど、そういう名目だったんだ)手当もついて30万くらいに上がって居た。そして1日12時間程度の残業(労働基準法に則ると仕事は続けても名目上何時間かは休憩していたと見なされるため、残業時間はそこまで付かない。理不尽だけど)をのべつ続けた結果、茨城での手取りは70万円を超えていた。
そして、茨城では駐車場付き一軒家を借りていたけれど、その家賃がたしか4.5万円程度だったとき臆している。
茨城に赴く前の住処は風呂無し、トイレ共同の6畳1間のアパートで家賃は2.5万円程度だったけれど、茨城でそんな生活をしていたらもうトイレ共同風呂無しアパートは無理でしょ。って事で借りたアパートは風呂トイレ付8畳1間のアパートで7万円くらいかな。駐車状代金を合わせれば茨城の一軒家の倍近い値段だよ。
更に茨城での残業続きの結果と丁度時期的なタイミングの結果、東京に戻ってきてからの健康保険料が目玉が飛び出るほどの金額(10万円近い加算だとおもいねぇ)となり生活を圧迫してくれたり(もう殆ど手取り給料が無い感じ)あれこれ生活に困窮したところに現妻が降臨し「お金がないなら養ってあげましょう」って訳じゃないけれど健康保険の暴挙が落ち着くまでの生活を助けてくれた結果、逃げ道がなくなりプロポーズに至る…のは別の話。
もし、あの時カローラではなくて「プレリュードを買う」って思い立っていたら、そんな簡単に「友達に譲っちゃお」なんて考えなかっただろう。折角買ったんだから乗るんだい!って悪あがきしていたと思う。
だから同運命が変わったかなんて分からないけれど、それから辿ってきた流れの中で妻と結婚した事、美人のお友達と出会えた事は良い出来事ではあるけれど、それ以外…特に仕事関係はリセットできたらしたいものだったな。
仕事の内容については十分充実していた。
大手の銀行や放送局、物流関係、卸関係、原子力関連、ダム関連、電力関連と多岐にわたり結構面白い仕事をやってこられたのは幸運な事、貴重な体験と思うけれど、全体を総じて私は大体1日に2~3日分の仕事時間を過ごしてきた。
そんな時代だったと言う事もあるかもしれないけれど…いや、バブルって時代があって、その時には同世代の人達がそのバブルで踊っていた。それを考えれば当時の同世代の人は皆同じように働いていたはずがないと思う。単に私の運がなかった。私の要領が悪かった。私の付いた食が悪かった…そんな物だったんだと思う。だからこそ「たられば」ではあるけれど、「もし」やり直せたらって思っちゃうんだよね。
そしてその「やりなおせたら」のキーがホンダのプレリュードなんだ。
そう言えばNB8(マツダ ロードスター)に乗っていた頃、借りている駐車場のお隣さんも当時のプレリュードに乗っておられたな。
定年退職されたときの退職金で「この車で最後と思って買った」とたいそう大事にしておられた。
プレリュードは老若問わず憧れの対象だったんだなって思う。
そのプレリュードも時代の波か2001年にインテグラに統合されて終止符を打ったのだけれど、この9月に名前が復活。
車自体に期待はするけれど、値段が「600万円台前半から中頃」だそうだ。
貧乏なおっさんには手が出ません。
ってか、車幅1,880mmってところで内の駐車場に入るけれど、安心して出し入れするにはちょいと太りすぎなんだよね。
どんな車が出てくるのかは注目させていただくけれど、抽選はがきはシュレッダーに入れさせて静かに見守らせていただくよ。