今回はあくまでも「私」主観での話。

 

痘痕も靨(あばたもえくぼ)という諺がある。

 

goo辞書によると

恋する者の目には、相手のあばたでもえくぼのように見える。ひいき目で見れば、どんな欠点でも長所に見えるということのたとえ。

だそうだ。

 

これだけしか書いていないけれど、勝手な想像として

前置詞に「ある程度は」と付け加えておきたい。

この「ある程度」は、それこそ「セクハラ」と同義で、決まった基準はなく、当事者同士のさじ加減で決まる。だからお猪口1杯分の我慢もない人もいれば、それこそアトラス山脈より高く、マリアナ海淵より深い懐を持つ人もいるだろう。

 

それを頭の片隅には置いといて、例えば他の人にやったら大げんかになりそうな大失敗も、恋人同士、夫婦間の間では「仕方ないなぁ」で済んでしまう事もある。それは、1つはその手の失敗に慣れっこになってしまったという面もあるかもしれないが、もう1つの側面には絶対に「あばたもえくぼ」の呪文が存在していると思っている。

 

私の妻も、色々な欠点を持っている。

慣れない人には、最初こそ「おっとりした人」と思われるけれど、その内化けの皮が剥がれて「気の利かない人」と変わっていく事が多い。

 

ちょっと想像をして欲しい。

ここに高級なシャンプーとコンディショナーのセットがある。

シャンプーをし終わって頭をすすいで、頭をタオルで軽くふいて水気を切って、コンディショナーを適量手に取って髪に塗ったとする。

 

ここで壁の時計を見たけれど、曇っていて時間が読めない。

 

ここで問題

「この人は何のために時計を見たかったのでしょうか」

 

頭を固形せっけんでしか洗わないような人には、縁のない設問となってしまったのだけれど、知っている人にはさほど難しい問題ではなかった事だろう。

 

答は何のひねりもない。「コンディショナーを洗い流す時間を知りたかった」と言う事だ。

そう、私もほとんど縁がない話だったのだけれど、リンスなどは時間をおかずすぐに洗い流すのだけれど、コンディショナーと言うものは数分置いてから洗い流すものらしい。なので、今の時間を確認して、そこから数分後の時間に洗い流せばよいと簡単な計算をしたい訳だ。

 

そしてこれは今日風呂に入っている時に実際に起きた状況(ちょっと違うのは、「高級」と見栄を張った所くらいだ)。

「時計が見え(*1)ないな」と言った私に対して、もし正解を答えられた人なら「今は〇×時□△分だよ」と答えれば満足を得られると理解するだろう。

しかし、妻から帰ってきた答えは「今〇×時□△分だけど、この時計数分進んでいるよ」だった。

 

うんうん、時間を知ることができたから何の問題もない」(*1)よね。

うんうん、妻と初対面の人たちはみんなそう言ってさ、「そんなにカリカリすることないじゃん」って呆れたりするんだよ。

でもさ、確かに時間は知(*2)ることができた。でも、その後に続く言葉をアセンブラに落として、機械語に翻訳して、意味を解釈して、それを本流とは違う必要のない言葉だと認識させるために要する時間、そしてその余計なif文を組んで実行させるまでにCPUは何μsecを失うと思う?そしてそれが無限に繰り返されるループにあるとしたら、そのプログラムがどれだけ加熱すると思う?

 

一応ね妻もプログラマの端くれなので、何度も何度もそういう話をしているんだ。意味のない言葉をコンパイルするのにどれだけの時間を無駄にしている? オプチマイズ(最適化)(*1)するのにどれだけ大変な労力をかけているか想像つく?ってさ。でも、妻、COBOLプログラマだからオプチマイズとかコンパイルってあんまり縁がないみたい。ピンとこないんだろうな。いや、単に性格の問題かな。

 

毎回こういう事でイガイガとするんだけれど、流石に「一応は求めている答はそれじゃないよ」と言う。そして「今から正確な時間を知って、私が何をしたいと思ったの? スーパーボウルまでの秒読みはまだ1日以上早いしさ。一体何のため?」と聞いても「そんなの分からないけれど、時間を聞かれたら、進んでいるって教えた方がいいじゃない?」と言う。

「今さ、シャンプーしているの見ていたよね? コンディショナー取って縫っているのも見ているよね。目の前でやっているよね?ね?ね?ね?」と問うと「うん」と答える。

「じゃあ、何をしたいか分からない?」

「全然」

「言われても?」

「言われたら、あ、そうかって思う」

 

 

 

 

 

 

昔はこれで怒っちゃっていたんだ。

でも、今は一周っていうか数周回って、もう取り返しのつかない周回遅れになった。で、笑いが出てくる。

 

気が利かないとか想像力がない…と思うのは考えが浅い。妻はね、余りにも素直過ぎて、目の前の現実を全て素直に受け入れるとても深い懐を持ったちょーウルトラスーパー大物DXスペシャルマックスな存在なんだよ。ただただ、私如きでは計り知れないスケールを持っているだけなんだ。私はようやくそう理解できた。だから(*1)もう妻のこういう事では怒らない。

 

だって(*3)妻の欠点ってさ

「あばたもえくぼ」の範囲を超えて(*1)

 

「あばたえくぼ」

 

なんだよ。

「も」なんて生易しい物じゃないんだよ。

でも、もうそれ受け入れるしかないんだよ。

ため息…

あばた「も」えくぼな人がうらやましい。

 

*1:2022/02/12 17:30 文章追加

*2:2022/02/12 17:32 文章訂正

*3:2022/02/12 17:35 文章削除