デスクライトのZ-209PROを手に入れて、「明かりって大事だな」と改めて思った。その話を膨らませていたら家の話になってしまったので、別に書き出すことにした。
長年、黒い会社に勤めていた。残業で週3~5日徹夜(文字通り眠れない)、土日出勤は当たり前なんて環境に身を置いてきた。それでも、私がそんな仕事をしていた頃は、例えば今では当たり前に店に置かれているPOS(Point of Sales)システム…バーコードを読めば値段が勝手に表示される仕組みだったり、まぁいろいろなものが開発され始めた頃だったし、ソフト屋なのにハードウェアの仕様書を読んで、ICE(In Circuit Emulator)を繋いでICの足に入る信号の電圧をチェックして、自分でプリンタなどのドライバを作って、外国製コンピュータで日本語を表示させるために漢字変換プログラムを作って…何でも好きなことができた時代だったし、たまたま億単位の予算を好きに使えるような仕事もあったので、残業が辛いと思うより、仕事が楽しかったという部分もあったのも否めない。
そんな仕事を自慢したい訳じゃない(そんな仕事の仕方はやってはいけない典型だ。遊び・生活・家庭を最優先させられる環境が何より大切なんだからね)。ではなぜこんな事を書いているかと言うと、そういう仕事をしていると、当然家にはほとんど帰る時間がない。まぁ地方から出てきた独身男なので狭いアパートが我が家と言う訳だけれど、それでも心安らぐ「我が家」なんだわね。
時々与えられる休みだったり、仕事場の関係で多少は早く帰ることができる時期があったりしたときに、少しでも生活を楽にしようと自炊の腕を磨いた。銭湯で長風呂をして疲れを癒した。
そんな経験から、私は「仕事などでとても疲れている(ストレスに満たされている)時、人は何を欲するか、何があれば幸せか」評論家になれるくらい経験を積んだ(自称ね)。
その結果が、家を建てるにしても、アパートを借りるにしても、とても大切なのは「台所と風呂」だと悟った。そして次に大事なのは「断熱性能・採光」だ。
当然ながら、一切料理をしない人に台所は全く必要ではない。飽くまでも自分で食事を作って、仕事をしてと言う環境の中で快適に暮らすにはと言う事だ。
【台所】
狭いシンクでは皿を1つ洗うにも神経を使う。使ったグリルパンを洗う事もままならずストレスしか溜まらない。
コンロが1口では、複数の料理の出来上がりをできるだけ近い時間に収めるためには高度に頭を使う必要がある。しかし、3口のコンロ、グリル、電子レンジがあればかなり軽減される。仕事で加熱した頭を料理などでさらに過熱するのは宜しくない。コンロで加熱するのは料理だけで十分だ。
100均で買うまな板より、数千円出してでもまともな(私の場合は木製)まな板を使えば、包丁が適度に沈んで切る作業も的確にできるし、何より包丁を傷めない。
好みのわかれるところだけれど、ル・クルーゼなどのホーロー鍋、圧力釜、電気鍋…様々な良い鍋がある。そういう物をうまく使う事で、料理は手抜きをしても尚おいしいものができる。そしてその手の鍋を洗うには広いシンクが必要だ。
【風呂】
友人のアパートでは、これは土葬用の棺桶か?と見紛う程小さい、当時は小太りだった私が足を必死に折って体育座りをして漸く湯船に体をねじ込めるか?でも、ねじ込んだ後出て来られるのか?と言う風呂桶を拝見したことがある。友人はスリムだったからその風呂でも入れたのだろうけれど、私は謹んで遠慮した。疲れた体を癒すには、足を伸ばせる広い風呂が望ましい。そして温度管理ができる機能も欲しいところだ。
ついでに半身浴ができたり、ミストサウナなどついていると極楽になる。
今の家を建てる時、この風呂の広さ、深さでひと悶着があった。先の通り、私は私が足を伸ばしてゆったりしたいので1620サイズの風呂を望んだ。しかし、私が同居する義両親はどちらも身長が150cm前後。とても小柄だ。それで、私が丁度良いサイズだと、義両親は「もし足を滑らせたとき、風呂桶で溺れそうだ」と苦言を呈してきた。俺ぴーんち!
そういえば、台所の話になるけれど、台所でも楽ができるように冷蔵庫もシンク下の物入れの扉もタッチすれば扉が自動で開閉する機能がついている。料理をしている時に両手が塞がっている事は良くある。自動化は便利だろうと思った。が、いざ使ってみると、私は快適に使えたけれど、メインで使う事になる義母はシンクを使うために体を寄せると、扉に触ってしまって扉が開く…とても不便だと不平が出た。冷蔵庫も「慣れていないから無い方が良い」と…。結局全ての自動化設備は電源を落としたままになっている)
結局、風呂桶については、本当は肩までつかることができる深い浴槽が欲しかったのだけれど、「それは本当に怖い」と断固反対され断念した代わりに、広さに関しては「いざとなれば滑り止めマットを敷く」と言う事で譲歩してもらった。
私は事故のリハビリも兼ね、入浴は1回1時間半ほど入っているが、その内の30分~45分はミストサウナで汗をかき、30分は38度くらいの湯で半身浴をしている。スマホは防水だと言っているけれど、それは水圧の話でお湯に対応していないことが多い。なので、ジップロックに包んで持ち込んでのんびり読書などを楽しみながら過ごしている。
家族には「本当に風呂が好きなんだねぇ」と言われ、半ば呆れられているけれど、そうじゃない。これをしないと足や手が痛むのだよ。
本当風呂の贅沢は極楽だよ。ここでも昨年末に給湯器を交換する羽目になった話を書いた通り、新規設置10年で給湯器を交換する羽目になった。
しかし、暖房・涼風・ミストサウナ機能付きの換気扇はまだまだ使えるとの事だった。
結果論で言えば、深さについては譲歩して良かったと思う。
日本人だから肩までつかることができる浴槽は当たり前だよぉぉぉと言いたい気持ちは一杯あるのだけれど、今、足腰が弱って介護施設のお世話になっている義父が風呂に入ることができるのは、偏に風呂の深さが浅いからで、小柄な義父が怖がる事無く浴槽を跨いで脚がつくからだ。
今は週3回施設で入浴させてもらっているので、基本義父が風呂に入る事はないのだけれど、それでも時々は風呂に入ることがある。そして義父だけではなく、これからは義母、そして私や妻も同じことが言える年になって行くのだから、これはこれで良かったと心から思っているという事だ。
この【台所】【風呂】の快適さが確保できれば、仕事の疲れは最大限に解消できる。
そしたら次に注目するのは【断熱】
私が埼玉県に引っ越して住んだのは、友人が買った一軒家…築40年位で、よくこんな家を恥ずかしげもなく売る不動産屋があったなと言いたくなるくらい違法建築すれすれ(もしかしてアウト)物件だった。
間取りもおかしい。
玄関を入ったらすぐに台所なのは良いけれど、台所の1辺が玄関、向かい側にシンク、左辺にトイレと風呂、右辺に和室に続くドア。
…ねえ、冷蔵庫はどこに置くの? そして、風呂に入る為の脱衣はどこでするの? 風呂に誰か入っている時に客や宅配が来たらどう対応するの?
2階に上がれば、部屋の真ん中に柱が立っているし(モノポールテントじゃねーよ!)
電気配線は、素人工作なのか、これはやっちゃダメでしょって金具で柱に打ち付けられているし、いつ火事が起きるか分からない状態だった。
問題だらけだったよ。
そしてさらに大問題だったのが、断熱材が全く入っていなかった事。
夫婦2人共働きで、2人とも朝7時には家を出て20時より前に帰ってくることはほぼない。なのに、ある時電力会社から「あなたの家は平均的な4人家族の家の使用電力量を大幅に超えています。解決するために相談してみませんか?」と言う内容だった。
夏になれば暑いよね。
夏場、家に帰ってくると、エアコンの温度表示は「H」となっていた。計測可能温度を振り切っているという事だ。
そしてエアコンをつけると常に全開動作をしてそこから緩む気配がない。温度は35度くらいになるが、そこからは一切下がらない。
冬場、当時は1階にベッドを置いて寝ていたのだけれど、余りの寒さに朝方目を覚ます。羽毛の布団を使っていても、ベッドのマットレスを通して冷気が侵入してくる。床下も断熱されていないので、冷気が入り放題だった。
これについては大家である友人が動かないのでお手上げだった。
せめて、寝室を2階にして冷気から逃げるしかなかった。
断熱は万能ではない。
断熱したとしても熱は伝わるし、涼しいエアコンのいらない夏、暖房のいらない冬が来るはずはない。けれど、その光熱費がとても少なく済むこともあるという事だ。使う暖房器具によって大きく左右されるからね。
兎にも角にも断熱は大切。
なければ又は不十分であれば、本来必要ないところ(電気代やガス代)にお金が湯水のように消えていくこと請け合いだ。
【採光】
私の知っている人は、その昔家族5人で4畳半2間のアパートに住んでいた。東京では珍しくない光景だったらしい。その家族はその後横浜に家を買って引っ越していったけれど、田舎に住んでいた私は「何でそんな狭いところにわざわざ住むのか?」本当に純粋に不思議だったんだ。よもや、ジジイになった自分が同じような環境に住むことになるとは…
その4畳半2間は周辺をビルに囲まれ昼でも天井灯が欠かせなかった。
ある金持ちの友人は、家を建てる際デザイナーに設計を頼んだ。
設計図を見せてもらっても、予想図を見せてもらっても、実際にできた家を見せてもらっても、「さすがデザイナーが設計した家だね」と思わせる美しさがあった。うん、オブジェとしてはね。
そのデザイナーの人の真意は知らないけれど、そのデザイナーは「窓は格好悪い」と言う派閥だったようで、とてもきれいな外観だけれど窓が極端に少なくて、家の中が薄暗い。いろいろ便利な機能がついている家だったけれど、「薄暗い」それしか印象になくなった。友人は早々に家を手放した。そこは賢明だったと思う。
天井に採光窓をつけると、掃除が大変だったり、雨漏りの原因になったりトラブルもあるらしい。そこまではいかないとしても、せめて可能な限り大きく窓はとりたいものだ。
おまけだけれど【トイレ】
おしり洗浄機能がついていると便利。
特に腰痛持ちには必須だ。更に言えば、腰痛持ちなら便座自動開閉機能、お尻乾燥機能もあると本当にありがたさを感じる。
タモリさんが、数年を置いて2つの番組で「便座自動開閉機能なんて何のためにあるのか分からない。あんなのいらないでしょ」と言うのをたまたま見たのだけれど、タモリさんは幸いなことに腰痛を持っていらっしゃらないのだろう。腰痛を持っていると屈むのがとにかく大変だ。そんな時、近寄っただけで便座が上がってくれる機能のなんとありがたい事か。
腰が痛くてトイレットペーパーを尻に持って行くことができない状況の時、乾燥機能のなんとありがたい事か。
自分に必要ないものだとしても、それは必要ないから「無知」なだけで、それを必要とする人がいるから機能が存在しているのだ。当然ながら私も私に縁のない様々な事に無知で、それに縁のある人に対して失礼を働いている事だと思う。あまり目くじらを立てて責める事ではないけれど、でも、タモリさん程の方なら、せめて「『自分には』必要ない」と言ってほしいものだなと思うけれど、まぁタモリさん今でこそ文化人の如くだけれど、元はハナモゲラの人だから、それはそれで良いのかもしれない(期待しないとかそんなネガティブな話ではなく、自由に発言される方だという事)。
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