本日、こんなニュースが・・・
政府は、夫婦が別々の姓を名乗ることを認める
選択的夫婦別姓を導入する方針を固めた。
民主党などの民法改正案は、
〈1〉結婚時に夫婦が同姓か別姓かを選択できる
〈2〉結婚できる年齢を男女とも18歳にそろえる
――ことが柱で、おおむね法制審答申に沿った内容だ。
(Yahooより抜粋)
数年前から、夫婦別姓を認めるべきかどうかという議論が
よく採り上げられるようになりましたね。
現実的にも不便だな・・・と感じた方は多いと思います。
"別姓を認めるべき"派の意見
1.男女平等
女性だけが、結婚して苗字を変えるのは不平等だ。
2.仕事上の不利益
キャリア女性が苗字を変えると、
旧姓時代の実績や信用が使えなくなるのは不都合。
(一見しただけでは同一人物と認識できないため)。
3.アイデンティティの喪失
長い間使ってきたので、その人にとって重要な意味をもっている。
これを失うことは個人のアイデンティティを喪失することに等しい。
↓↓↓
1.について、現行の民法(ブログの最後参照)では、
「夫の姓を名乗れといっているのではなく
夫婦どちらかの姓を名乗れ」といっているにすぎません。
現実には、ほとんどの場合(全体の90%)、
女性側が改姓することになっていますが
これは慣習から出てきたものであって、
本質的に、法律を変える云々の問題ではないですよね。
2.3.は一理あると思います。
欧米とは違って日本では、個人を呼ぶのに
名前ではなく姓をつかうのが通例ですし、
結婚して苗字を失うのは何となくさびしい・・・。
ただし、2の問題は、ほとんどの場合、
通称(ペンネーム)として旧姓を使用することで解決できます。
ちなみに、会計士も、旧姓使用はOKです。
この問題に対応したのでしょう。
会社の代表者などをしていると、
旧姓を使えない場面がでてきますが、
書面上のことだと割り切れれば・・・。
夫婦別姓が認められれば
慣習によって、夫側の姓を名乗ることを強要されたり、
お互いに姓を変えたくないので、事実婚状態にある方たちを
救済することができると思います。
"同姓であるべき"派の意見
1.家族の絆がなくなる。
安易に夫婦別姓を認めると、家族の絆が崩壊する。
家族の絆は社会の根幹であり、維持すべき。
↓↓↓
別姓を支持する人たちは、
「別姓選択の余地を与えよ」といっているのであって
「すべてを別姓にすべきだ」といっているのではないですよね。
別姓にしたい人だけに認めるのだから、問題ないのではないか。
という反論がなされるでしょう。
そんな考え方古い!という意見もあります。
夫婦同姓は本当に古いのか?
一般に、この問題は
個人主義(個の確立)と、古い価値観(男尊女卑)
の対立問題としてとらえられていますが、はたしてそうなのでしょうか?
昔は、姓を持つの一部の人のみ、その時は、別姓が普通だった。
中国、韓国はいまも夫婦別姓。
もともと別姓が使われていたものを
あえて同姓に変更したのは最近のこと。
夫婦同姓はある意味新しい考え方なのです。
むしろ、夫婦別姓が認められると
娘を嫁がせた家の「家名」が途絶えずにすみます。
嫁側の家系を絶やさないための制度が残るという意味では
夫婦別姓の方が古い考え方ということもできます。
女性側の姓になるという考え方もあるわけですから、
夫婦同姓であるべき、という人たちが即、
「結婚したら夫の支配下に入るべき(男尊女卑)」
という考え方に立つわけでもないし、
古い考え方の持ち主だというわけではないと思います。
どっちの立場?
私が選択を迫られるとすれば、夫婦同姓を選ぶと思います。
そして夫の苗字にした場合には、ペンネーム(旧姓)を使う。
(夫と妻のどちらの姓にするかは、結婚前に
二人で十分話しあって決めれば良いと思います。)
理由は3つあります。
1.夫婦、家族が同じ姓をつかうことで、
単なる親しい人たちの共同生活ではなく、
自分たちが家族(一体のもの)であることを確認できるからです。
人は単に自分の欲求ややりたいことだけを追求すれば良い
というものではなく、周囲との調和を保ってはじめて
自立することができる存在だと思うのです。
2.子供への影響
よく言われることですが、夫婦別姓を認めた場合、
子供の姓をどちらにするのかという問題が起きます。
両親まで巻き込んでトラブルになる可能性が高まりますし、
兄弟姉妹で姓が違うのは、やはり不自然だと思うからです。
3.コストも馬鹿にならない
戸籍制度の大改革には多額のコストがかかります。
そこまで費やす意義があるのでしょうか。
それに…お墓はどうなるんでしょうね。
一人一つのお墓、なんてスペースは日本にはありませんしね。
墓石の名前にそれぞれの苗字を書くのかなどは、
現実問題としてものすごく気になります。
最後に
夫婦別姓を認めるならば、単に世界標準だから、というのではなく、
上記の問題について、十分検討を加えた上で
導入してもらいたいものです。
夫婦別姓は、民主党が政権をとったときだけ認められた制度、
というおかしなことになるのではと危惧しています。
【参考】
現在の民法には、下記の規定があります。
民法第750条【夫婦の氏】
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
→夫の姓、妻の姓、どちらも選べますが、片方しか選べません。
いわゆる夫婦別姓が認められないのは、この民法第750条によります。
民法第767条【離婚と氏】
1 婚姻によつて氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によつて婚姻前の氏に復する。
2 前項の規定によつて婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に
戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、離婚の際に称していた氏を称することができる。
→離婚すると、結婚前の自分の氏か結婚後の氏のどちらを使うかを選べます。
ただし、一度選んだら、変更できません。
結婚後の姓を選択した場合、実の両親と苗字が違うことになり、
再婚するとき不都合ですね。
民法第790条【子の氏】
1 嫡出である子は、父母の氏を称する。
但し、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
2 嫡出でない子は、母の氏を称する。
→嫡出なら父母の氏とありますが、
夫婦別姓が導入されるとどちらかを選ぶことになるのでしょう。
民法第791条【子の氏の変更】
1 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、
戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、その父又は母の氏を
称することができる。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、
子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定める
ところにより届け出ることによつて、その父母の氏を称することができる。
3 子が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わつて、
前2項の行為をすることができる。
4 前3項の規定によつて氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から
1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、従前の氏に
復することができる。
→親と子供の氏に不一致が生じた場合には、
子供の氏を変更することができます。
また、未成年のうちに氏を変更した子供は、
成年になった時に本人が望めば、前の氏に戻すことができます。