朝、7時15分。

 

スマートフォンを片手に、ほんの少し緊張しながら

「クーパンイーツ」というアプリを開きました。

塩パンを手に入れられるかどうかは、この一瞬にかかっているのです。

 

シンダン(新堂)にある「ソウルソグムパン」は、

朝の静けさとともに開店し、

わずか50分足らずで静かに姿を消してしまう。

完売すれば、告げることもなく、店の灯りはそっと消える。

 

“今日、会えたらそれでいい”

そんなふうに、そっと言われた気がしました。

 

 

 

朝の光のようなグラデーション

 

今朝、わたしが選んだのは――

ピーナッツバターと林檎、やわらかく煮えた卵に少しのルッコラ。

香ばしい塩パンに、控えめに挟まれた朝のサンドイッチです。

 

一見するととてもシンプル。

けれど口に運ぶと、

甘み、塩味、ほろ苦さ、やさしさが、

まるで朝の陽射しのように、順番に、やわらかく届きました。

 

ピーナッツと卵のコクが林檎の酸味を静かに包み、

そのあと、ルッコラのほろ苦さが目を覚まさせてくれる。

グラス越しに差し込む光のように、揺らぐ美味しさでした。

 

 

 

 

塩パンと、ミルクアイス

 

そして一緒に添えたのは、

冷たくて、優しいミルクアイスクリーム。

 

カリッと焼かれた塩パンと、

ひんやりとしたアイスの甘さが、不思議なほどよく合っていて。

熱と冷、甘みと塩気。

相反するもの同士が、まるで引き合うように重なり合っていきました。

 

 

 

静けさを連れてくる弾力

 

“もっちり”とした弾力が噛むたびに返ってくるたび、

ふっと心のノイズが静まっていくような感覚。

“美味しい”という言葉では足りない、

“忘れたくない味”が、そこにありました。

 

 

 

東京では見かけることの多かった、日本の塩パン。

けれど、韓国ではなかなか出会えなかったあの味を――

今、シンダンの小さなパン屋で、そっと見つけることができました。

 

この朝は、静かな喜びと、小さな勝利で始まりました。

明日もきっと、同じように7時15分を祈るかもしれません。

 

たったひと皿のパンで、

“今日はきっと、大丈夫”

そう思える朝でした。

 

 

 

 

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