初版で買ったのがちょっとレアになりつつある今日この頃?
直木賞前の帯って少ないのでは・・・・・・。
もっとドロドロした話かと思ったんですが、
ひたすらに擦り切れそうな心と心が純粋に想い合う話。
「いけない事」だとは分かっていても、
お互いにその人しかいない・・・
その強く確かな気持ちが周囲の人間を振り回します。
その気持ちは幸福よりも不幸を多く与えています。
初恋に終止符を打たせただろうし、人は死にます。
それでも「二人で生きていく」っていう揺るがない想いの強さが憎めませんでした。
現在から徐々に過去へと遡っていく話。
過去に行かないと分からない現在の語り口が多く、
「先へ先へと戻っていく」不思議な感触に引き込まれました。
過去に行くにつれて、最初
「漠然と醜くて嫌なおばさん像」
ってイメージを持ってた小町さんが可哀想に思えてきたのが不思議。
拒んだんじゃなくて拒まれてたのね・・・・・・
言わずと知れている有名な一冊ですが、
背徳的かつ退廃的な雰囲気漂うお話に惹かれた方はぜひ。
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