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母方の実家、居間に飾られているこの写真が好きだ。

焼き増しは出来ないらしく、昼間母が他の部屋に行っている時を見計らってこっそり携帯のカメラでその写真を撮った。

写りは少し悪いけど、次に来るまでの我慢と思えば気にしない。

1992年に撮られたその写真にはちょっと若い祖父と祖母が並んで写っていて、

微笑む祖父とちょっと仏頂面でじっとファインダーを見つめている祖母の姿が、

何故か無性に胸を締め付けては、泣きそうになった。

実はいつものことである。

あまり笑わない祖母を、「この人らしい」と母は言う。母もこの写真が好きらしい。

この写真が撮られた8年後、今から7年前に祖母は亡くなり、

生まれたばかりの私を抱く祖母の写真と、祖父の隣に寄り添うように写るこの写真の祖母しか今はよく見かけない。

祖父は笑うが、私はこんなに鮮やかな彼の笑顔を見た記憶がない。

だからこそ泣きそうになるのだろうか。

どうしてこんな気分になるのか、理由がいまいち分からなくて困る。

写真の中に閉じこめられた雰囲気に、引き寄せられてはただただ切なくなるのである。



ちなみに、「おじいちゃんおばあちゃんになっても続く愛情」に私が憧れを持ち始めたのは、

この写真に目を留めてからであったりする。