
母の家には、黒ラブのアトムという犬がいます。
大型犬には珍しく長生きなアトちゃん、もう15歳と9か月にもなります。
アトムの兄弟姉妹はみんな10歳ほどで亡くなってしまいました。
食べることが大好きで、嫌いなものはトマトときゅうりだけ。
同じく食べることが一番好きな母は、生きる上で 食べ物が一番大切だからと、食べ物にだけは お金をいとみません。新鮮な旬の美味しいものは、いつもテーブルに並んでいます。
そんな母は、アトちゃんが食べたいと言えば、食卓からアトちゃんのお口へと、なんでも与えてきました。
日に2回の少量のドッグフード以外に、人間の食事のたびに つまみ食いするアトム。お茶の時間も、もちろん参加。
春は山菜、タケノコご飯。夏はアユの塩焼き、スイカにアイスキャンディー。
秋は松茸、富有柿、松坂牛。冬は ふぐちり、松葉ガニ と、贅の限りを食べ尽くしてきました。
義父と2人暮らしなのに、買い物に行くと必ずアトちゃんの分も計算して3人分の食材を買っていた母。
お買い物には、必ずついて行くアトム。なぜなら、おやつを買ってもらえるから!ローソンのフランクフルトが大好物!
母が入院した時のこと、母の代わりにアトムを連れて買い物に行き、喉が渇いたので途中、ローソンで飲み物を買いました。でも、フランクフルトは買わなかった私。車の後ろの窓から、遠ざかるローソンの出入り口をいつまでも見つめていたアトちゃん。あの時はごめんね。でも、痩せてほしかったから...
私がいつも、人間と同じ味付けのものを、しかも自分のご飯食べた上にあげてたら、太るし 体に悪いから止めなさいと言っても、聞く耳を持たなかった母のせいで、アトちゃんの体重は53キロと、母を軽く追い越しました。
結局、糖尿病になってしまい、獣医さんにも 食事制限して、痩せないとね...犬は、自分でスーパー行かないしねぇ...なんて、注意された母。
でも、母は、食べたいもの食べて死んだほうがいいよねぇ~!と言って、あげる量は減らしたものの、完全には止めませんでした。戦後の幼い時、貧乏を経験し、食べるものに困った時期も経験した母にとっては、それがアトムへの愛情表現の一つだったのかもしれません。
アトムの七不思議に、一度も歯のクリーニングをしてないのに、歯石が全くない事と、この年にして、白髪がお口のまわりと足先に少ししかない事があります。しかも、毛並みはピッカピッカ!
いつもニコニコ笑顔のアトちゃんは、お散歩に行くと、子供やお年寄り みんなにキレイだねぇ~、かわいいねぇ~と言われ、なでなでされて喜んでました。ただ、デブだった為....ラブラドールと分かる人が少なく、これ何犬?セントバーナード??などと言われたものでした。
若い時に、訓練士さんと服従訓練の大会で、いい成績までとったアトちゃんだし、私とのお散歩では、ちゃんと言うことを聞いて良い子なのに、母の事は馬鹿にして、自分の行きたい方へ母を連れまわし、母の事をとても良く訓練してしまった頭の良いアトムです。
そんな感じで、いつも笑わせてくれるアトちゃんですが、ここ3年ほどは、糖尿のせいか、歳のせいか、白内障になった眼がだんだん見えなくなってきたのと、リュウマチで痛い節々で、歩くのが大変そうでした。
毎年、今年が最後かもね...と、言ってましたが、なぜか いつも復活したアトムです。
お正月に日本の母に電話した時の事、いつものように、アトちゃん、元気?と聞いたら、母は、アトちゃんね...12月7日死んだんだよ。LuLuに言ったら、きっとママの事心配するだろうから、もうちょっと落ち着いてから言おうと思って...と、言いました。
きっともうすぐと、覚悟はしていたけど...もう逢えないんだ...と思うと、悲しくて涙が溢れました...
去年の6月に逢ったのが最後...
もう一回逢いたかったなぁ...
15歳と9か月
とても長生きしました。
2日間、苦しがったそうですが、死ぬ間際まで食欲があったそうです(笑)
さすが、アトム...食い気がここまで命をつなげたのかも...
知り合いの一人に、アトムは病気だけど、歯石も、白髪もなくて、16年近く生きてるんだよと言ったら、きっとすごくハッピーなんだね!と言いました。
私も、アトちゃんは、母に可愛がられて、すっごく幸せな一生を過ごしたと思いますし、母も義父も私も、優しかったアトちゃんにたくさんの幸せをもらいました。
きっと今ごろは天国で、すでに亡くなってしまった我が家のペット達と、お腹がぶっちゃけるほど食べまくり、飲めや歌えの大宴会をしているんだろうと思います。
アトちゃん、私たちのもとへ来てくれて、ほんとうにありがとう。
これからも、お母さんの事 見守っていてあげてね
