僕が生まれた世界は望む望まぬに関わらず、勝手に資本主義社会の物質至上主義であって、働いてお金を稼いで意味のないものを買い貯める事が幸せの定義であるとされている。


いっそ火の鳥の未来編みたいにさっさと今の人類など滅びてしまって、次の新しい知的生命体に地球を譲った方が余程地球の為になると思っている。

だって今の人類に世界平和なんて絶対に出来ないからね。

そういう風にプログラムされてないから無理無理。


で、何が言いたいかというと最近夢の中でも仕事をしていて困ってしまうという事。


しかも夢の中のお客さんは実にわがままで、通常7時開始の朝食なのに準備をしてる最中にドカドカとやって来て、断りもなしに準備途中の朝食を食べ始めてしまうのだ。

ちょっとちょっとー!と、困っているところで携帯のアラームが鳴り、実際に朝食の準備へと向かった訳だが、有難いことに正夢とはならなかった。

先日見た夢もやはり仕事の夢だった。


内容は忘れたがそんないいものではなかった事だけは覚えている。


せめて夢なんだからもう少しいい夢が見たい。



例えばこうだ。

雨が降りまくって僕の働いている山小屋までの唯一の道が通行止めとなり、誰も上がってこれなくなった。(実際にシーズン中何度かある)

残ったスタッフも宿泊客も下山させ、山に残るのは僕1人。(実際に通行止めが決まるとこのような対応をとる)

すると間も無くして嘘のように雨が上がり、雲の切れ間から日が射したかと思うと、たちまち雨雲は消滅して雲一つない紺碧の空が広がる。

気温もみるみるうちに上昇し、風は穏やかにそよぐ程度。気分良く誰1人いない山を散歩に出かける。


しばらく山道を歩いていると前から1匹のクマが現れる。


僕は最近虫1匹殺さない様に気をつけているので、殺気というものが全くなく、思惑通りクマは僕に警戒心を抱いていない様子だ。

少しずつ距離を詰めるがクマは全く気にしていない。

僕はついにクマの目の前に立ち、そっと頭を撫でる。


耳の裏側をコリコリと掻いてやると、クマは喉を鳴らし気持ちよさそうにうっとりした目で僕を見つめ、頬擦りをしてくる。

そこで、クマと一通りスキンシップしてジャレ合い、仲良くなり、僕はクマの背にまたがって散歩の続きをする。


そのまま人里まで下ると、クマにまたがった僕を珍しがった若者がたまたまその姿を携帯で撮影し、snsに投稿。

瞬く間に猛烈にリツイートされ、マスコミにも取り上げられ、あれよあれよと時の人となってしまう。

そこで、たまたま僕のインスタが晒されて、絵を描いている事が世に知れ渡り、変わり者の人嫌いな偏屈芸術マニアの爺さんが僕の絵を500万円で買いたいと申し出る。

それを機に僕の絵の価格は高騰。

描けば売れるという状態になり、経済的には何一つ心配する事はなくなり、勝手気ままに世界中を旅し、旅先で絵を描いては日本を始め、世界中の絵画コレクターに販売郵送して、現金収入を得て、世界中に種を残して回るという生活を送るようになる。

そして20年後、僕の豪快な生き方に目を付けたハリウッドから映画化のオファーが来る。

監督をマーティンスコセッシ氏という条件で契約を結ぶ。(恐らくマーティンスコセッシは高齢のため後20年も生きていないと思うが。))

その年のアカデミー賞で監督賞を始め、美術賞、撮影賞、録音賞、視覚効果賞、編集賞、外国語映画賞を総ナメにし、スコセッシ監督最後の作品にして、彼の作品の代表作として、以後100年に渡り人々を感動と熱狂の渦に巻き込む事となる。



気がつけば現代美術の巨匠と呼ばれ、望んではいないが巨万の富と名声を得る事になるが、あまり俗世的な事を好まない僕は、財産のほとんどを自分で設立した世界の本当の意味で恵まれない子供を救う為のNPO団体に寄付し、晩年はカナダの秋は紅葉が見事な山の麓に100エーカーの庭を購入し、その中に小さな慎ましい、屋根から芝生が生えている小屋やツリーハウスを仲間と建て、田畑を耕し自給自足の生活をして食料を得て、犬や猫や鹿、ヤギ、牛、鶏、雉、孔雀、狼、熊、カモシカ等、何から何までを飼って調教し、異種同士が互いを愛し慈しみ合う中で慎ましく余生を過ごす。

しかし人生とは摩訶不思議なもので、それで静かに人生の幕を下ろさせてはくれなかった。

どこからともなくタネが飛んで来て、僕の所有する広大な敷地内に勝手に大麻草が根を下ろし自生を始め、試しにその個体から取れたタネを蒔いて畑を作ると、それが思わぬ奇跡的最高級品という事が判明。世界中のカンナビス杯で最優秀賞を総ナメ。一躍愛好家の間では誰もが憧れる名ブランドとなり、アムステルダムで一大旋風を巻き起こす。

カンナビスにビジネスチャンスを見たマイクロソフト社が噂を聞きつけて、株を分けて欲しいというので、目が出るような価格でビジネス提携。以後、その管理は全てマイクロソフト社のカンナビスを取り扱う部門に任せる事にして、僕は小さな小屋で猫を膝に抱いて、小さな暖炉の前で犬の頭をさすりながら好きな音楽をレコードで聴きつつ更なる妄想に耽る。


そして愛する妻や子や孫に看取られる中、ついに息を引き取り、体から魂が抜け出し、昇華した魂は超生命体として宇宙空間を自在に飛び回り、時空を超え、この世の真理を目の当たりにするのであった。



どうせ見るならこのくらいの夢が見たい。


起きた時に落胆しそうだけどね。



つらつらとくだらない事を書いたが、クマにまたがっての散歩は僕の願望であり、その為に肉を食べるのを控えていると言っても過言ではない。

殺気をなくせばクマとも仲良くなれるのではないかと。

しかし、それを飛騨が地元の仕事仲間に言うと、「は?クマは完全草食動物の鹿も食べるんだから無理っしょ」とあっさり言われ、こいつ馬鹿かと冷ややかな視線をおみまいされた。



現実世界でも同年代の人間に比べればだいぶ好き勝手生きているが、夢くらいもっと自由にさせてもらいたいものだ。


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