気が付けば、もう、1カ月以上、ブログをアップしていませんでした。あせるあせる

やれオリンピックだの、パラリンピックだのと、テレビに張り付いていた毎日もあっという間に過ぎ去り、はや夏草の間を涼風さえ吹き抜ける「兵どもが夢の後」のような今日この頃です。月見

 

 

さて、今日は映画のお話です。

先日、NHKBSプレミアムシネマで放映していた「陽のあたる場所」です。

この映画は、1951年のアメリカ映画で、1931年の「アメリカの悲劇」のリメイク版です。

あらすじは、これといって奇抜なものではなく、ひねりもない、よくある男女のテーマを扱っています。

 

 

ざっくり要約すると、貧しい青年(ジョージ・イーストマン)が、彼の子を宿した恋人(アリス)がいるにもかかわらず、財閥の娘(アンジェラ・ヴィッカーズ)との結婚に心が揺らぎ、結果、湖で溺れた恋人(アリス)を見殺しにしてしまい、死刑になるというお話。

特に、ひところの韓ドラでは、手を替え品を替え、このテーマは鉄板でした。

 

 

熱心な布教活動に身を置く母親のもと、母とふたりの貧しい家庭で育った学もないジョージは、ホテルのボーイをしていたある日、工場を経営している伯父(チャールズ・イーストマン)に出会います。

それを機に、ヒッチハイクをしながら、伯父を頼って彼の経営する工場までやって来ます。

実は来る途中で、偶然、運命の彼女(アンジェラ)の車に出会っていました・・・

 

 

ジョージのお父さんは、早くに亡くなったみたいですけど、お母さんのハンナが宗教にのめり込んでいたからか、親戚の人たちは彼らを敬遠していたみたいです。

(いつの時代もどこの国も同じ?)

ジョージも幼いころからハンナに連れられて布教活動をしていたんでしょうね。

そんなことを匂わせるシーンがありますが、そこに登場する(実際のモンゴメリー・クリフトの少年時代を彷彿とさせる)少年がめちゃくちゃ美少年。

ジョージは、学校もまともに行かせてもらえず、ちょっと世間のことにも疎かったんでしょうね。

だからある意味、純粋でよい子だったのかもしれません。

 

 

ジョージ(モンゴメリー・クリフト)がこれから向かう先、伯父の会社(イーストマン社)は、水着を製造している。

当時、女性の水着でこんなに財がなせたんですかねぇ・・・

 

 

社長宅に呼ばれたジョージは、ここで偶然アンジェラを見かける。

エリザベス・テイラーはこの時、まだハイティーン?だった?めちゃくちゃきれいだった・・・

吊るしのツイードのスーツを着たジョージは、どこからみても田舎者・・・

 

 

パーティーに招かれたものの、知る人のいない孤独なジョージは、ひとりビリヤードで時間を潰していた・・・

そこに、アンジェラが・・・

 

 

アンジェラはジョージに一目惚れ・・・(どこかの国の姫君みたい・・・)

その後、別荘で急接近!!

 

 

アンジェラのプライベート湖畔でジョージは図らずも後の行動を操るいろんな情報を得る・・・

 

 

ジョージがアンジェラに心変わりしたことを確信したアリスは、彼に結婚を迫る・・・

仕方なくアリスに結婚の約束をしたジョージは、婚姻届けを出す前に、

思い出作りにアリスをボートに乗せて湖に漕ぎ出す・・・

 

 

この時のジョージの頭は、いろいろな事で混乱している・・・

富と美貌のアンジェラに目がくらみ、アリスが邪魔になって来たけれど・・・

でも、純粋なアリスも捨てられない・・・

 

 

アリスはふたりの新生活について、夢を語りだす。

そして、星に願いを・・・

 

 

アリスが思わずボートの中で立ち上がったために、二人は池に投げ出され、

ボートは転覆する・・・

 

 

ジョージは決してアリスをボートから突き落としたわけでもなく、オールで叩いて沈めたわけでもありません。

これは事故でした・・・

でも、ジョージはアリスを助けようとはせずに、自分だけ泳いで岸にたどり着きました。

彼はアリスが金づちだって知っていました。

だから、彼の心の片隅には「もしかしたら、溺れて死んでくれるかも・・・」

という悪魔の願望があったのでしょう。

 

裁判で、彼は「殺人は犯してない!」と主張しますが、有罪(死刑)判決を受けます。

そして最後には自分の罪を認め、死刑を受け入れます。

なぜなら、実際に手は下していないけれど、心でアリスを殺してしまったことに気づいたからです。

「見殺し」または、「未必の故意による殺人」ということなんでしょうね。

 

さて、余談ですが、この哀れな金づちのアリスを演じた女優さん、シェリー・ウィンタースさんは

(覚えてますか?)1972年の「ポセイドン・アドベンチャー」で潜水してみんなの命を助けた、あのユダヤ人のおばちゃんです。

(いやぁ、20年でこんなに変わってしまうなんて・・・)

 

 

さて、この映画には、父との思い出もあるんです。

私が小学生のころ、夜にテレビで放映される洋画は父と一緒に見ていましたが、ほとんど私は途中で眠ってしまい、翌朝、父からその映画の結末を聞くのが常でした。

この映画も途中で眠ってしまい、最後まで見ることは出来ませんでした。

この映画の結末は・・・

「あの主人公の男が、ボートが転覆した時、一緒に乗っていた女の人の溺れるのを助けずに見殺しにして死刑になった。」

 

たったそれだけの、ちょっと衝撃的ダイジェストでしたが、後に大人になって見たこの映画、そんなに印象変わってなかったです。

父の話で、人間の心の闇・・・の部分は十分に伝わっていました。

 

それにしても死刑執行の日に、アンジェラが面会に訪れます。

彼女も純粋培養されたお嬢様・・・

「私たちはお別れを言うために出会ったのね。」と・・・

登場人物はすべて、いわゆる、よい人ばかり・・・

根っからの極悪人などは出てきませんでした。

まあ、ツッコミどころは多々ありましたが、心に残る映画でした。