派遣社員を解雇する動きが強まっている昨今。
そもそも私は派遣業への法規制がゆるみ始めた頃から、大きな疑問を持っていました。
当初から、雇用の使い捨ては許されないよ・・・と、報道を見るたびにブツブツと抗議の声を上げていました;
規制をゆるめてしまえば、企業が新たな選択肢を採るのは当然です。
企業には利益追求という重大な使命があります。
今、企業が次々と派遣社員を切るのも、当然の帰結です。
反面、社会貢献という責務を負うのもまた企業の使命です。
両者は必ずしも容易に共存できるとは限らない、だからこそ、法整備で枠を決めておく必要があったと思います。

ところで。こういう考えから私は、派遣社員から正社員になれずにいる工場労働者らに対して半ば同情的な姿勢でいました。許されない現状による被害者、的な。
が、先日友人たちと飲んでいて、これとは違う姿勢に触れました。

ある友人の会社でも派遣契約で社員を雇用していますが、彼の見る限りは、派遣社員とは、 "自由" でいたいという欲求に基づいて自ら好んでその雇用条件での就労を求めている人々だと言います。
「こっちが考えるのは、『いかに気持ちよく働いてもらって、そいつに長くいてもらうか』 」 だと。
正社員になる話を振って乗ってくることのほうが少ないとも。
なんで?? と聞くと、「まだもうちょい自由でいたいんで、このままでもいいでしょうか。」という理由が多いというのが偽らざる感触だと言います。
世代や業態によって色々異なるのかととても興味深く感じました。

彼の視点では、自分の都合で派遣社員を選択したのに、切られそうになったからと「切ってくれるな」と騒ぐのは違うというのです。おいおい、それが良くて選んだんだろ? というわけです。メリットだけ享受する気だったのかい? という・・・。 この視点に立つと、それはそれで筋が通った主張だと思います。

私は聞いてみました。「例えば、自動車メーカーの工場に解雇された元派遣従業員をお宅の会社で雇用したっていいんだよね? 彼らを切った自動車業界とは違って、そこには確実に ニーズはあるってことでしょ。」と言うと、今度は少し考えてこう言いました。

「それが40歳とかだったら、正直考えるよな。それがやりたくてずっと工場で働いてきたわけでしょ。今さら別のことをはじめるとして、上手く行くかは微妙じゃない? 」
そこもさー、それがやりたくてその仕事に付いたかはわからないよね。勤務内容よりその他の諸条件で選んだのかも知れないし、選ぶ余地がなかったのかも知れない。逆に言えば、与えられる仕事なら何でも頑張る気があるかも知れない。
「・・・だとしてもやっぱり若い方がいいな。仮にやる気があったとしても、40過ぎた大人に時間とコストをかけて色々教えた結果モノになるかはわかんないし。やっぱり若い方が柔軟だし、飲み込みもいいよなー。」

確かに。そう言われると、そんなリスクを取るメリットはないですね・・・。

クリスマスのイルミネーションに輝く街を歩きながら、色々と考える夜でした。

Le Petit Cheritane n°16