「インドに行くの」と言うと 全員に「えっ?なんでインド?」と聞き返されました。
それもそうですよね、常識的には60歳を過ぎてからフリーで行く国じゃないのでしょう。
「インドは呼ばれないと行けない国」
そういったのは三島由紀夫らしいけど。
私がインドに心を惹かれたのは やはり「深い河」遠藤周作さんの名著があったからなのでしょう。
実は、この小説、ずっとタイトルも作者も思い出せずにいたのです。
若いころに読んで おおまかなあらすじしか覚えていなくて、それでも何故かどうしてももう一度読みたくて。
図書館の司書に尋ねたり、本好きの友人に聞いても分からない。
インド旅行のガンジス川の描写と、神父になった学生と同じ大学で奔放だった女性の話。
何が印象に残って、その本を再読したいのかも分からずに数年過ごしました。
このインド旅行に誘われたとき、ガイドブックに「インド題材の小説」と紹介されていたのを偶然見つけたのです。
その時の感動。
ああ、この小説だ。
すぐに分かりました。
まあ、これが決定打となって私のインド行きは決まったようなものです。
「深い河」
深い小説です。
特に、神 とか 宗教 とか 人生 とかを考えがちな人には。
かつて家族で信仰した「神」を信じることはもうないけれど、
本の中の
「神はいろいろな顔を持っている。
ヨーロッパの教会だけでなく、ユダヤ教の中にも仏教の中にも、ヒンズー教の中にも神はおられる」
という描写が何度も出てきます。
その通りだと思う。
美津子の見つけた人間の河。深い河。
それぞれの人がそれぞれの辛さを背負って、祈る深い河。
その景色をこの目で見たかったのかもしれません。
読むたびに、きっと違う印象を与えてくれる小説なのでしょう。
答えが書かれていない小説なので、読み手が自分なりに受け取らざるを得ないのです。
この先私は、きっと何度も読むのでしょう。
そのたびに、私の人生観も変わっているのかもしれません。
それでも。そんなことを深く考える機会をくれる本なのです。
インドに行く人も、行かない人も、ぜひ一読してください。
インドの子どもたちの真っ白な目が私を見上げているよ。
春海の宗教二世のための相談会
4月はお休みします。
とはいってもお話ししたい方はメッセージくださいね。