とても蒸し暑い梅雨の一日で、新宿に沈もうとしている太陽はぼんやりした雲から顔を出して柔らかく照明灯を照らしている。
僕はビールを片手に“3”ではないけどサンドイッチを食べながら、たいして野球に集中することなくぼんやりと本を読んでいる。

その日の夕方、5時から客先での打合せがあってそこで貰ってくるであろう宿題を鑑みるととても野球観戦できる夜ではなかったのが、突如キャンセル。
しめた、神宮に行こう。
昨夜中日相手に大勝して浮かれたヤクルトファンは勝ちを信じて昨日よりはたくさん駆けつけるに違いない。
一人で行く時にいつも座る“背もたれ付きの外野席”で本を読みながらぼんやりとした時間を過ごしていて、たま吹く風がとても心地よかった。
ビールが無くなると高級レストランの給仕かのようにいつものビール売りの子がやってきて二言三言世間話をして去っていった。
いつも涼しげに仕事をこなす彼女の額に汗が光っていて自慢の前髪もペタッとしていた。
とにかく蒸し暑かった。
そんなぼんやりとした時間をミレッジがレフトスタンドに叩き込んだ快音が止める。
二夜連続のお祭り騒ぎの予感にまだサンドイッチの章も終ってないのに僕は本を読むのを止めて野球に吸い込まれていった。

なんだかいっぱいタイムリーやホームランを見た。
こんな強いチームのファンだったけ。
野球場でばったり合った新親友女子と野球談義をしながら駅に向かう帰り道、この日のぼんやりした気分は嘘のようにご機嫌で歩いていた。
今日は本を読む集中力はもうないのでまた明日。
しかしバレンティンがライト前ヒットで繋いだり、ミレッジが2発のHRってのに目が行くけど、実は下位打線が繋がってるのが大きいと思うんだ。
その立役者はもはや恐怖の7番打者の松井君に他ならない。
そろそろ調子が落ちてから這い上がる所が見てみたい。

◆神宮ビールカウンター
42+3=45杯(17試合)
1+0=0杯(レモンサワー)
神宮でもいいかげんハイボール売ってほしい…
(神宮ハイボールなるものは勘弁)