
自分のCD棚にあるベートーベンのヴァイオリン協奏曲はシェリングの演奏で、イッセルシュテット指揮のロンドン響、1965年の録音。
実はこの曲はこれが一番の名盤ではないかと自負しつつも、ハイフェッツの演奏が聴きたくてCD屋に行くと気に止めていた代物。
それが実家にあった。
ヤッシャ・ハイフェッツの演奏、ミンシュ指揮のボストン響、1955年の録音。
54才の絶頂期のそれは鳥肌立ちっぱなしで1楽章のカデンツァで痺れてしまって失神寸前。
力強さとテクニックをイメージしていたら、輪郭が明瞭で歯切れのよい彼らしい演奏でありながら、とてもロマンチックでいてテンポがよくて一切の重苦しさを感じさせない。
ちがうわ…、やっぱりハイフェッツだわ…。
ダメもとで父上に交渉してみる。
『俺はシェリングの'65年の持ってて名盤って言われてんねん』
『へぇ~、えぇの持ってるやん』
『交換せーへん?』
『そら、アカンに決まってるやん』
敢えなく撃沈。。。
それにしても昭和30年、戦後10年やそこらの頃アメリカではこんな素晴らしい演奏をする人がいて、それを聴く事ができて、しかも録音してやがったんですよ。
やっぱり勝てるわけなかったのか…。