本日は最近の探索内容を少しまとめて行こうと思います。

まず一つ目のため池。

茶色く見えるのはイネ科と後は全てホテイアオイでした。

①タネツケバナ(種不明)

タネツケバナの仲間なのは間違い無いですが、オオバタネツケバナとオオケタネツケバナはよく似ていて判断がつかないので保留です。

湿った環境を好むアブラナ科の植物。

クレソンと近縁で、一部の種の若芽は食用になる。

アブラナ科特有の爽やかな辛みがあるが、水田に生えているものは農薬などの危険性もあるので食用にするときは清流のものを採取するのが好ましい。

 

②ホソバノウナギツカミ

少し珍しいタデ科の多年生湿生〜抽水〜沈水植物。

ため池や水田の浅水域に生息するため水位の変化に強く、完全な沈水形を取ることができる。水上葉も赤いが水中葉ではその傾向が強い。

水辺のタデ科の中では唯一まばらな花をつけるため見分けるのは比較的容易である。葉は矢尻型。

 

次に久留米市での探索。

 

③ヤナギモ

ヒルムシロ属の多年生沈水植物。基本的に常緑に近く、殖芽は不完全なものにとどまる。

エビモと並ぶ普通種だが近年減少が著しく、本来本種が占める環境はオオカナダモに取って代わられつつある。

水槽に植えても良いが、地下茎を伸ばして広がるので他の草を圧迫しないように注意。

 

④オオフサモ

富栄養化したため池、水路、湿地など様々な環境に生育する頑丈な多年生抽水植物。同時に有名な特定外来生物であり、本種が侵入した平地の水域は一面本種に覆い尽くされてしまう。

水面や地表を覆い尽くして光合成を遮ってしまうため他の植物と競合した場合本種が勝つことが多く、植物体の一部からも再生する生命力もあって駆除には大変な労力を要する。

冬には枯れることこそないものの、小型化して葉は赤色になる。

同じ特定外来生物の多年生浮葉植物であるブラジルチドメグサとは共生することもある。

※特定外来生物は運搬・飼育・販売など拡散させる可能性のある行為全般が禁止されている。もし野外で見かけても採集してはいけない。また、本来は禁止されているが、田舎の店でたまに売られていることもあるのでむやみに自然界に放さないように注意が必要。

 

⑤ヒメガマ

 

湖沼やため池、水路、休耕田など様々な環境に生育する多年生抽水植物。

穂はタンポポに似た綿毛の集合体からなり、一つの穂に雄花と雌花なの両方がつく。

 

⑥タガラシ

 

湖沼や河川、水路、水田などの撹乱が多い浅水域に生育するキンポウゲ属の越年生抽水〜湿性植物。秋に発芽し、翌春に水量が増えると浮葉を形成して開花する。

花は光沢のある黄色で支える茎は中空。乾田化に伴って減少が著しいが、都会の水路の中など水質汚濁が進んだ場所でも生育できるので絶滅危惧種とはなっていない。

 

⑦アゾラ類

在来種はオオアカウキクサ、アカウキクサの二種、外来種はニシノオオアカウキクサ、アメリカオオアカウキクサ(特定外来生物)の四種が存在する。

しかし見分けが難しいためむやみな採集は禁物である。

多年生浮葉植物で、水生シダ植物である。アカウキクサの名の通り全草が赤いため、繁茂した水面は一面に赤くなる。

水鳥によって容易に拡散し、たどり着いた先の水域で大繁茂するため腐敗臭や水路の水の流れの悪化が酷いため平地における被害が大きい。

 

⑧ハゼノキ 

ウルシ属の落葉小高木。葉は羽状複葉で、冬には紅葉して赤くなる。

ウルシ属とあるように本種の樹液には肌に触れるとかぶれる毒性がある。

先駆種植物であるため崖崩れや工事の跡に多く、公園に生えたものを子供が触らないように注意が必要である。

上の写真は葉が落ちて「キツネノコバン」と呼ばれる実だけになった状態である。

 

⑨ヤドリギ

樹上に生息する常緑多年生の半寄生植物。「半寄生」とあるように自身でも光合成を行う。

実は黄色く、皮の中に粘液と種子が詰まっているため鳥に食べられるとその糞の中に入った種子が木の枝に付着して発芽する。発根した後、楔形の根が宿主から栄養を吸い上げ、一つの宿主に複数寄生すれば木が弱ってしまう。

 

今回は以上となります。

〈おまけ〉

シロバナタンポポ