カイが成人式に出席するために帰ってきたけど
夜行バスで土曜の昼前について着いて、
昼飯食べたら高校のクラス会って出て行き
日曜日の早朝帰ってきて、
すぐに部活仲間とエントリーしている駅伝大会に出て行った。
ジュンもママ友会があったので参加。
ということは
フリーダム!
ダッシュで大島・・・
と言いたいところだけど
死ぬんじゃねぇかくらいセキが止まらず断念。
ヒマだナ・・・
酒棚でも片付けるか。
たまりにたまった酒瓶の整理。
おお!
キレイになった!
恐らくドエライ盛り上がってるだろうカイとジュンをよそに
ホットモットでひもじく飢えをしのぎ
死にそうなセキをしながら映画を見てたら
まずジュンがほろ酔いで帰ってきた。
一通り楽しかったことをしゃべると満足したのか
「あたしゃあ寝るよ」
と言い残し行き倒れたように爆睡。
映画も終わりそろそろ寝るかと思ってると
カイが帰ってきた。
「おお、駅伝どうだった?」
「思ったより走れた」
俺は歯を磨き、カイは風呂に入る準備をしたけどぬるかったようで追い炊きのスイッチを入れて、リビングでスマホをいじっていた。
「カイ、オレもう寝るよ」
「おう、おやすみ」
階段を途中まで上がったけど、
そうか・・・
もう一度リビングまで降り、
「カイ、ウィスキー飲んだことあるか?」
「ん?」
不思議そうな顔でこっちを見て答えた。
「あんまりない」
「一杯つきあえ」
とキレイになった酒棚からマッカラン12年を手に取り
ショットグラスを二つ氷を入れ
テーブルの上で注ぎ
一つをカイの前に置いた。
「明日成人式だろ?」
「うん」
「もう悪いことしたら顔も名前もさらされるんだからな」
「ああ」
「もう何かあっても親は助けてくれないからな」
「わかってるよ」
「式で市長が名はしてるのに騒ぎながらステージに・・・」
「やらねえぇよっ!」
「まぁ、あれだ、おめでとう」
「おお、ありがとう」
完敗
ちがった
乾杯。
「おお、ウマい。こうやって飲むもんなの?」
「ハイボールが流行ってるけどこれはロックで・・・割愛」
この後、酒の話から
釣りの話から
学校の話から
彼女の話まで
1時間ほど一緒に飲んで、寝た。
本当はもっと言いたいことがある。
せっかく大学4年間なんだからもっと冒険をしてほしい。
学校とバイトと釣りと行きつけのバルとたまにディズニーランド?AAAのコンサート?
ち・が・う・だ・ろ・っ!
もっと今しかできない命削ったアドベンチャーをしやがれ!
はぁ?そんなどこにでも落ちてるような話が聞きたいわけじゃねぇよ!
オレがビックリするようなネタを持ってきてみろや!
と
言いたいのをグッとこらえましたよ。
明日は成人式だからな。
バトルになるようなことはやめとくか。
階段を上がってるとぼそぼそしゃべってるのが聞こえた。
「このリモンチェッロうめぇな。持って帰るわ」
「アホ!それ日本じゃ売ってないやつだよ!」
ダッシュで階段降りたわ!
油断も隙もありゃしません。
とりあえず
おめでとう