昔からバス釣りは「手漕ぎボート」だ。
津久井湖じゃあ、津久井観光から沼本ワンドまで余裕で往復していたし、
海賊船の引き波にあおられながら、芦ノ湖だってへっちゃらで半周していた。
時にエレキをぶち抜き、時に忍がごとく音もたてずにポイントへ寄せる。
その動力は手作りおにぎり4個。
いつだって学生は貧乏だ。
そんな俺にとって「足こぎボート」はチトだるい。
遅い、小回りきかない、なによりこいだ時の「ガラガラ」いうあの音が、バスを散らしてるんじゃないか?とあんまり好きじゃない。
が、テストも終わった三連休のド真ん中。
今シーズンの最終戦を丸一日フルにバス釣ったろうってことで、その「足こぎボート」で勝負することになった。
ただ、ボートの時間は朝の7時から。
ヘイヘイ、足こぎったってオマルみたいなスワンに乗る観光客じゃないんだよ。
特に太陽昇ってますがな!
ってことで、
早朝からフローターで浮きぃの
7時からボート乗りぃの
暗くなるまでまたフローターで浮きぃの
トリプルヘッダー。
4時間なら2000円、それ以上だと4000円
「昼間は釣れないから、ボート4時間でいいんじゃね?」
「いや、やるでしょ」
勝負もポイント制にした。
25センチ2匹釣るのと50センチ1匹と同じってのはマズイだろ。
25センチ以上30センチ未満は1ポイント
30センチ以上35センチ未満は2ポイント
と5センチ刻みで、50センチ以上は10ポイント
よし、これで公平だ。
こうして2013年最終戦、暗いうちから出陣。
すぐにカイが37センチ、3ポイントゲット。
でた、相変わらず調子にのってやがるな。
いつもならここでズルズルいくけど、今日は違うよ。
44センチ、4ポイントで逆転。
カイもすぐ28と30で合計6ポイント。
反応は悪くない。
これ、ボートで出たらかなり釣れるんじゃねぇ?
と期待マックスで第2ラウンド。
が
・・・釣れねぇ・・・
・・・魚の姿も見えねぇ・・・
炎天下の中、ひたすらガラガラガラガラペダルをこぐけど、ピクリともきやがらねぇ・・・。
ダメだ、やめよう・・・。
5時までの予定を4時で切り上げて、再びフローター。
すると・・・
「きたぁ!」
いきなりカイ34と32連発。
俺37。
なんだよ、フローターの方が釣れるじゃねぇか!
この時点で、カイ10対俺7。
あと4点で逆転!
でろ!40アップ!
きたぁ!・・・が32。よし10対9。
普通ならやめる時間だけど、もう一匹釣って逆転しないと来シーズンまでデカイ顔される。
焦ってペンシル引いてると対岸から声が、
「きたぁ!31センチ」
やばい、12対9
直後・・・
「またきたぁ!32ぃ」
・・・終わった・・・
いいところまでいくけど、あと一本が出ないで終盤に突き放され、THE END・・・
ってカープの試合かい!
こうして最終戦で2013年の勝者が決まった。
ついでにこの日の夜、セ・リーグの優勝も決まった。
相手は、やっぱりあと一本が出なかったカープだ。
そしてもう一つ、
もう足こぎボートにも乗らないことも決まった。