中学生活で最大級のイベント、修学旅行。
カイの学校は「職業体験」といって、農業や漁業など希望するコースを選びそれを体験しながら民泊するらしい。
去年の冊子を見ると、漁業体験では船で釣りをしたり魚をさばいたりと、カイにとっては願ったり叶ったりの企画。
モロに見せ場。
デカイの釣ったり、刺身作っちゃったりしたら、ちょっとヒーローじゃない?なんて都合の良いことを考えてるようだ。
そんな期待をしながらテンションマックスで説明会に行ったが、ものすごいふてくされて帰ってきた。
まずコースが、漁業2つ、農業2つ、竹細工の5つに分かれている。
ただし去年までと違うのが、クラス単位でコースを選ばなきゃならないらしく、希望が重なったらジャンケンで決めたようだ。
結果・・・カイのクラスはビリで一番人気のない「竹細工コース」に決定。
テンションがた落ち・・・。
まぁ、確かに絶頂からどん底に突き落とされたようなもんだから、気持ちはわかる。
本人も「まわりに川はないか」「釣りはできないか」と何とか面白いものはないかとネットで調べてた。
ところが、事態は急展開。
転入生が何人かいて、突然クラス替えをすることになった。
ということは修学旅行のコース決めもリセットってことだ。
なんというミラクル!!
カイのテンションも急上昇!見せ場!ヒーロー!の夢が復活!
まぁ漁業じゃなくても昔から知り合いの農家で田植えや野菜作りをさせてもらってるし、農業でもOKらしい。
「竹細工コース」からの敗者復活戦みたいなもんだから。
と言いつつも、たいそう気合い入れてリベンジマッチに燃えていた。
説明会があった日、家に帰り
「どのコースになった?」
と聞くと、目も合わせずに小さな声で答えた。
「・・・・・・・・竹細工・・・・・・・・・・」
引き弱わっっっ・・・。
「どうやって代表でジャンケンする人決めたんだよ?」
「ジャンケンで負けた人・・・」
そりゃあ負けるわ・・・。