満鉄あじあ号の食堂車では、日本人と満州人とロシア人のウェイトレスが給仕をすることで民族協和を表していました。
メニューは洋食が中心、ビーフステーキ、ビーフ/ポーク/チキンカツレツ、牛肉カレー、ハヤシライス、チキンライス、ハムエッグ、サンドイッチ、コーヒー。
さらに和食コースと親子丼があったそうです。
特製「あじあカクテル」はグリーンとスカーレットの二種類。
見目麗しき白系ロシア人ウエイトレスがサービスしていた、というくだりを読んで、
中心街に建つ5つ星ホテル「コロン」、顔馴染みでベテランのバーテンダーは絶妙なカクテルを作ってくれます。きっと彼ならできるでしょう。
でも、一人で飲むのもなー ということで、日本から来ている仕事仲間に声をかけました。アラカルトにない特注ですが、レシピを説明すると、素材はすべて揃っているとのこと。
では、あじあカクテルを再現してみましょう。
グリーン ウォッカをベースに、ペパーミント・リキュールを加える。
スカーレット コニャックをベースに、グレナデン・シロップを加える。
さて、お味はいかに?
う~ん、初見からエレガントとはいえない風情。
「こりゃ、かき氷シロップのスピリッツ割りだねー」という一致した感想。
スペインのカクテルは強いベース酒を気前よく並々と注ぐのが特徴ですが、
両者を混ぜて、そのままハイ♪という芸の無さに、出鼻を挫かれました。
たしかにネーミングとカラーは合ってますが、これが憧れのあじあカクテルとは・・
古き良き時代の郷愁に浸りながら、美女と一緒にロマンチックにグラスを傾けようという目論見は、期待したシナリオ通りには進みませんでした。
口直しに、彼のスペシャルカクテルを所望すると、こちらは本格的。
その名も「Sex of the Peach」
甘酸っぱさが特徴の口当たりの良い味で、言ふまでもなく女性向き。
グラスの縁にイチゴとパイナップルを添えます。
鉄道から派生させて、こうしたアプローチで楽しむのも一興。

