マドリッドには鉄道博物館があります。
アトーチャ駅から約1km、徒歩10分程。
観光ガイドブックには記載されていないので、知る人は少ないようです。
週末は、普段仕事をしている会社の忘年会があり、招待を受けてマドリッドに出かけました。
翌日はチンチョンの町を訪ねて、夕方の新幹線までの時間に足を向けてみました。
広場に展示されている小さなニ軸機関車
19世紀末に建設されたラス・デリシアス駅の建物を利用
デリシアス駅の由来
1880年3月30日開業
国王アルフォンソ12世とマリア・クリスチーナ妃、宰相アントニオ・カノバスの臨席で祝賀式が催された。
式典では、5本の線路上に並んだ、5台の蒸気機関車がゆっくりと車止めまで前進して喝采を浴びた。
カスティリア地方においては、マドリッドとアランフェスを結ぶ路線が最初に敷設された。
その後、マドリッドからカセレス経由でリスボンまで開通、イベリア半島の2つの首都が鉄道で結ばれた。
1969年 ラス・デリシアス駅の廃止
1980年 国の歴史的建造物に指定
1984年 鉄道博物館として開館
玄関扉は閉まっており、横の案内板を見ると、開館時間は10~15時と書かれています。
あらかじめ予定して訪れたわけではなく、プラド通りに貼られていたポスターが目にとまり、
気まぐれで立ち寄ったので、詳細までは調べていませんでした。
すでに17時近くで、諦めてアトーチャ駅の方へ戻ろうとすると、扉が開いてガードマンが顔を出しました。
「中に入れてさし上げたいが、残念ながら時間外の入場は上司と規則が認めてくれません。また明日おいでください」
剣もホロロに拒否されるよりも、スペイン人らしいユーモアと人情があって心和らぐ応対です。
「これからAVEで南へ向かうので、明日は来れないんです。来年再び機会があるかもしれません。その時にまた・・」
ちょっと立ち話をして、自分は日本人で、鉄道愛好家であることを話しました。
駅舎の由来や鉄道模型の展示コーナーもあるという話も聞き及び、さらに興味が湧きました。
「ここから中の雰囲気だけ・・ちょっと写真を撮ってもいいですか?」
「どうぞ、そのぐらいなら構いませんよ」
ホームにはスペイン国鉄の代表的な車輌が展示されています。
線路は4列を成しており、右から蒸気機関車、電気機関車、ディ-ゼル、客車の順。
時間をかけて見る価値は充分にありそうなので、速攻でサッと観るより、
再度出直してゆっくり観た方が正解です。
家に帰って博物館のHPを開くと
スペイン語で館内の見取図や主な展示内容について記されていました。
http://www.museodelferrocarril.org/
ここで偶然に思いがけない発見をしました。
まさに昨日、ブログで取り上げたナイーヴ絵画の原画を見つけたのです。
1880年 雑誌「スペインとアメリカのイラスト集」 J. Comba作
明らかに構図は一致しています。
一瞥した時は写真かと思いましたが、細密なデッサン画。
これは一般に剽窃と呼ばれる類いのものでしょうか・・?
絵画の世界では画風様式やタッチを変えた作品は二次創作と見做される例もあり
模倣コピー作として非難を受けることはないのでしょう。
例えばピカソが、ベラスケスの「ラス・メニーナス」をパロディ化&デフォルメして描いた
一連のシリーズなどの例もあるわけですから・・
それでも、これほどあからさまに似ていると、いさかか戸惑いを感じてしまいます。
