8102の巻
ネットを通じて購入すると、時々、不具合のある製品が送られてくることがあります。
これまで5か月余り、eBayショピングをしてきた経験では、
中古品の動力機関車に関して言えば、10台に1台ぐらいの割合で生じています。
この機関車もその例で、アメリカの個人出品者がオークションに提供していたセットを落札して買ったもの。
商品説明の欄には、「20年以上前の製品で、新品同様の状態で長く保管されていたものですが、テスト走行はしておりません」と記載されていました。
しかしながら、予期していたよりも若干安く落札できたので喜び、パッケージの到着を待っていました。
小包が着き、開梱して、レールに載せて、いよいよ・・ この初走行の瞬間が一番興奮します。
期待の気持ちワクワクで、パワーパックのつまみを回してみると、
全く動く気配はありません。
このように、即時に動かなかったことは、これまで何度かありました。
わずかにモーターが反応して、クイックイッと反転を繰り返しながら、やがて少しづつ回転し始めて走り出す、というパターンでした。
特に注油が過剰な状態だと、この傾向があります。
電源の入停止をしながら、モーターに刺激を与えますが、一向に回りません。
箱と車体の裏側には、Made in Western Germany とあります。
つまり、東西ドイツであった頃の機関車で、1981年のカタログにすでに載っている機種です。
1980年代の製造であってみれば、致し方ないのかもしれません。
ポイラーの上のネジを回して分解、シャーシをはずしてみましたが、
電気もメカもド素人ゆえ、どこが故障しているのはさっぱり分からず、お手上げです。
出品者にクレームメールを送ろうかと思いましたが、但し書きにあったように、あらかじめ対策のための伏線が張ってあるわけです。故障していたことの事実は伝えましたが、返品交渉まではしませんでした。
落札価格から考えても、緑色のプロイセン客車3両を買ったおまけと考えれば、それなりに慰められます。
勿論、補償は効きませんが、もしも修理が可能であれば、それに越したことはありません。
この一件では、多少は高くても、状態の良さを優先して購入すべし、という教訓を得ました。
さて、こういう時に登場するのが、地元で唯一の模型ショップ屋のお兄さんです。
おそらくモーターを交換すれば動くだろうと思い、部品の在庫はあるかどうかを聞きに行きました。
事情を話すと、「メルクリンのモーターは耐久性に優れていて、滅多に壊れない。きっと他に原因があるはずだ」
との答え。すぐに分解して、汗だくになりながら、その原因を調べてくれました。
その結果、長年使用しなかったために、各ギア間の潤滑油が固着して車輪が動かないということがわかりました。
「直るかどうかは、わからないけれど、やってみよう・・」と言いながら、さらに動輪部を分解。
しっかりくっついて離れない車輪同士を、なんとか引き離していきます。そして、再度噛み合わせてモンタージュ。
しかし、他の原因があれば、動くとは限りません。
ボディを逆さにして、それぞれの車輪にフィーダー線を接触させると・・
ジジッと音がして、微かに反応アリ。少し時間を置いて、ググッとリンクが動き始めました。
長い眠りの中でまどろんでいた、いわば動態保存されていた老朽機関車の復活の瞬間です。
テスト用の直線レールの上に載せると、小気味よくシャキシャキと走ります。
修理費を払い、さらにお礼の気持ちを込めて、クロコダイルに似合いそうな緑の客車を2両買いました。
今回も修理を頼んで、その場で見事に直してくれました
やはり機関車は、箱に入れたまま長期間放置せず、時々は走らせないといけないようです。
今では自宅のエンドレスレールの上を元気に走っていますが、歯車が擦れ合う、ジージーという音が多少気になります。
コントローラーの電圧のかけ方で、音が微妙に変わり、あるレベルの時に、まるで汽笛のような音になるので、
これはこれで風情があっていいかな・・と思っています。
続く数日は、Zゲージに関するメンテ・ネタを綴っていく予定です。

