東欧の駅には、ひと時代前のヨーロッパのノスタルジックな情緒が残っている。ブダペストの街並みは、いにしえのハンガリー帝国の威光を残す佇まい。ソ連の影響下にあった旧体制の長く沈鬱な時代は終わり、本来の表情がよみがえったかのようだ。ドナウの流れは、ウィーンよりもブダペストの方が遥かに美しい。
19世紀にタイムスリップしてしまいそうなドーム建築
入線した列車はしばらく停車した後、やがて折り返して出発していく。
ブダペスト駅から発着する列車の行き先を示す掲示板には、ソフィア、ブカレスト、ベオグラード・・ といった、東方世界のエキゾチックな響きを持つ地名が並んでいる。そのまま乗っていきたい衝動に駆られてしまう。