盛岡食いしん爺日記
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夕方、盛岡駅近くを通りかかった。
久し振りに駅に行ってみよう。
仕事にいき詰っている時、やたら寄り道したくなる。
駅ビルを歩く。
新幹線の改札口からぞろぞろと人が出てくる。
コロナ以降、一度しか新幹線に乗っていないなぁ~
あの流線形に引かれて時速200キロ超。
今や2時間とちょっとで東京だ。
それなのに出かけていない。
若い頃は、出かけたいと思えば夜でも車を走らせた。
気がついたら夜明けに津軽半島の竜飛岬にいたことも。
冬に仙台の街をオレンジに染めるイルミネーションを見たいと思うと、
その日のうちに新幹線に乗り込んでいた。
駅の中を歩きながら、そんなことを想っていた。
「あっ、そうだ駅ビルにもむら八があったんだ」。
店の前で立ち止まると、空腹を感じた。
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店の中を覗くと、知り合いと目が合った。
ニコニコして手招きする。
向かいに座った。
偶然だったが一年ぶりぐらいだろうか。
その人の前に丁度チキンカツ定食が運ばれてきた。
この鶏肉がやわらかくジューシーで、
たまらなく美味しいのを知っている。
「美味しそうですね」と言うと、
「お先に」とニコリ。
「やわらかくて美味しい~」。
「ですよね」と笑った。
私は昭和のかつ丼があり頼んでみた。
カツが丼からはみ出し蓋が半分開いたまま。
このメニューは、よく行く上田のむら八で見たことがない。
向かいの人は味噌汁とキャベツをおかわり。
丼と真ん中にのるグリーンピースが昭和な感じ。
カツは勿論のこと、玉子の煮具合が緩すぎず固すぎず私の好み。
美味しい~
向かいの人は食べ終わり、
「これから、東京なんだ」
と席を立った。
気がつけばトンカツの話しだけで終わってしまった。
「また、そのうち」
「気をつけていってらっしゃい」
彼は店から出て行った。
残りのカツを食べながら、
どうして自分の行動範囲が狭くなったのだろう?
これが「歳をとった」ってことか。
地理的に仕事の範囲が狭くなったこともある。
この頃、心の揺れ幅が小さくなった気がする。
感動や大笑いすることが少なくなり、
変わりに怒りや傷つくことが減った。
昭和のカツ丼を食べたせいか、想いは巡る。
会計し、また少し駅を歩いて駐車場へ。
車で事務所に向かった。
昔、東京行き新幹線の金曜に乗ると、
家に帰る様な雰囲気のネクタイ族をよく見かけた。
新幹線、高速道路やスマホ。
便利になって余ったはずの時間をどう使っているのだろう。
そんなことを想いながらの帰り道。









