盛岡食いしん爺日記
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今から三十数年は遡る。
中堅のサラリーマン時代、よくこの店に来た。
始めは隣では色々な布が並んでいた。
盛岡市の本町通りから中央通りに抜ける小径があり、
その途中にある機屋。
始まりは古布の店「機屋」。
珈琲の喫茶の始まりは1985年。
今の様になったのは1994年でもう30年。
ネルドリップの美味しい珈琲が人気で、
今では、ほかにも店を出している。
店の看板の片方には「きれの店」とあり、
もう一方には「珈琲」。
今も機屋の歴史が残っている。
初めて来た時は、三十数年前。
あるグルメの方が「千葉さん、機屋の珈琲は美味しいですよ」と言っていた。
気になって入ったのが始まりだ。
As Time Goes By · Beegie Adair
あの頃はオレンジ色の自転車で街を回っていた。
広い通りは爆走したり、けっこう遠くまで行ったりした。
地方都市で自転車は体力さえあればとても便利だ。
時々疲れると、機屋の傍らに自転車を停め、
珈琲を飲んで一息入れたり、
待合せて話したりしたものだ。
今はもっぱら車。
ここは駐車場もある。
だんだん歳を重ねてくると、
珈琲の味の違いが少し分かってきた。
酸味を感じたり、
ほどよい苦みを楽しんだり、
香りも楽しむ様になった。
昔は、職場や家では瓶に入った粉のインスタント珈琲、ネスカフェだった。
サイフォンも買ったが何度か使ったものの飾りになっていた。
夜遅くにも飲んだが、眠れないことなんてなかった。
一杯ごとネルドリップで丁寧に淹れられた珈琲。
カボチャのプリンも。
厳選して仕入れた豆はじっくりねかされ、
更にじっくり焙煎されて豆の個性と美味しさをます。
今日も美味しい。
カボチャを感じるプリン。
あっという間に食べてしまった~
子供の頃から青年時代までカボチャは苦手だった。
今はよく食べる。
特にスイーツになると好んで食べる。
自転車で遠くまで行ったり、
深夜まで仕事したりはもう出来ない。
体力、知力もおちている。
その代わり、
じっくり珈琲を味わったり、
苦手だったものの美味しさを知ったりしている。
三十数年を遡れば、
バス停や信号のある交差点にはタバコの吸い殻が散乱。
ハラスメントと言う言葉も知らず、スマホもなかった。
あっという間に過ぎた三十数年だが、
想えば色々と変わってきた。
短い様で長いのか、長い様で短いのか。
近いうちに合う予定の50代の人も責任を背負い、
未来を想う暇もなく働いているのだろう。
重荷を下ろした時、
足跡を辿れば、今の私と同じ様な事を想うのかもしれない。
機屋で珈琲を飲んでいると、
色々な事を想う。
私にとってそんな場所の一つなのです。