盛岡食いしん爺日記
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3時過ぎ、
珈琲を飲んでいると、温泉の誘惑。
そう言えば、
秋田の乳頭温泉の大釜温泉に行った時、
寄れなかった仙岩峠の茶屋。
甘口のつゆが染みたおでんと中華そばが浮かび恋しい。
久し振りに食べたい衝動。
珈琲を飲み終え、
車のキーをジーンズのポケットに。
盛岡から国道46号線を西に。
雫石盆地を横断し奥羽山脈の懐に。
カーブを過ぎるたび標高が高くなる。
長短のトンネルを幾つも抜け、緩く下り始めて
最後の湖山トンネルを走り抜ける。
一気に視界が開け、
すぐ左手に峠の茶屋が現れる。
この茶屋に行くためのトンネルの様だと思った。
昭和41年、旧国道の峠から始まり、
51年に幾つかのトンネルや橋を渡る新国道が開通し茶屋も移転。
裏はすぐ崖で、そこに聳え立っている。
病と闘っていたニ代目が50代半ばで亡くなってしまった。
一時、店は閉めたものの、
後を引き継ぐ人が見事に復活させた。
Stardust · Rod Stewart
昔のままの雰囲気。
ここは昭和の真っただ中。
まだ、二代目やおばあちゃんがいる様だ。
崖に聳え立つ茶屋の窓際が好きだ。
高所恐怖症で窓のそばに寄れないが、十分すぎる展望。
染みたおでんが来た。
久し振りだ。
ここのカラシは要注意。
つけすぎない様にしないと、景色がぼやけてしまうのです。
中まで染みに染みた大根。
柔らかく、ほどよい甘味。
美味しい~
秋田こまちが眼下を走って来た。
子供の様に手を振るわけでもないが嬉しくなる。
懐かしい味の中華そば。
細麺に絡むスープ。
見た目より麺がたくさん入っている。
ネギがたっぷりなのも好み。
変わらぬ味に感謝したくなる。
もう創業60年。
旧道の峠をバスで乗り越えた記憶がある。
何となく景色だけが薄っすらと残っている。
道路が整備され、もう50年。
トンネルの天井や壁も時の流れを感じてしまう。
私は、この道を数えきれないほど通っている。
秋田市の街に行ったり、
日本海を見に出かけたり、
温泉やスキー場、田沢湖を見に訪れたり。
思えば半世紀の時が流れた。
2代目やおばあちゃんのほかに、
多くの人が星になった。
もう閉店も近い。
店の暖簾が中に運ばれてきた。
昨年の夏以来の仙岩峠の茶屋を後にした。
帰りに雫石の温泉にゆっくり入った。
盛岡へ向かう途中、空に星が輝き出した。