盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
北田屋に通い続けて半世紀。
昭和15年頃から始まり、今は2代目。
昭和53年に「冷たぬき」が始まった。
職場からも近く、昼に残業前にと食べに行った。
街に暮らす人には、それぞれひいきの蕎麦屋がある。
ここは私の身体に馴染んだ味。
十数年前には奥さんが高校の先輩と知った。
紺屋町と葺手町を結ぶ愛染横丁と呼ばれる小路。
今も現役の盛岡信用金庫本店の裏手。
葺手町側の横丁の入口には老舗そば屋の東家。
歩いて1、2分の横丁には、
カフェやイタリアンもある。
ゆっくり歩きたくなる路だ。
サラリーマン時代は、たいてい急ぎ足だった。
今は、足を止めて猫を見たり、
改めて建物を見たりして歩く。
Night Lights · Gerry Mulligan Sextet
夏至も過ぎ、一日いちにちと陽は短くなるがまだ6月。
街は、明るくてつい閉店間際に入ってしまう。
いつもの様に玄関近くには奇麗な花。
店の中には旦那さんの高山植物の写真もある。
二人は、かなり山に登ったそうで、
早池峰山は、数十回も。
しかし、今は軽運動や時々の散策に留まっている。
飾られた写真の一枚一枚にその時の思い出が写されているのだ。
若い頃の夏はエアコンもなく、
バスケットをして汗を流した後、
二十代の頃は、また汗を拭きながら夕飯を食べたものだ。
ところが、三十代の後半になると、
冷風麺、中華ざる、そうめん、冷麦にざるや蕎麦ばかり食べていた時期がある。
そのせいか夏バテしたことがある。
さて、今日の目的は夏の「冷風麺」。
涼し気な姿で登場!
カラシを溶かし食べ始めたら、
あっという間に完食してしまった。
つゆと具と麺のバランスがよくとれてどんどん喉を過ぎていった。
美味しかった~
しかし、そばも食べたい。
躊躇なくもり蕎麦を1枚頼んだ。
半世紀親しんできた蕎麦の風味豊かで優しい味。
薬味はネギに「権八」と呼ばれる紅葉おろし。
食べ進むうち、つゆが味わい深くなる。
50代後半の人が3枚食べているのをよく見かける。
たいていせいろを食べる人は当たり前の様に2枚は重ねる。
箸を休めることもなく食べ終え、満足そうな顔で仕事に戻って行く。
かつて私もそうだった。
私は、食べ終えると蕎麦猪口に残った汁を飲む。
それから蕎麦湯を足す。
昔と違って今は美味しい蕎麦の余韻を楽しむ余裕がある。
数年のブランクはあったが、
今もバドミントンを続けている。
歳と共にスタミナがなくなり、
動きも足が前に出にくくなったり、
一瞬、戸惑ってしまったりする。
昨年まで当たり前に出来たことが出来なくなっている。
それが歳を重ねることなんだろう。
難しくなったことをどう補うか?
ここが大事なんだと思う。
ふと、スキーでバッチテストを受けていた頃、
指導を受けた先生が、見るからに歳をとっていた。
少しがっかりしてリフトに乗った。
ところが、山頂から滑り出した先生は、一切の無駄がなく、
何処に力を入れて曲がるのか分からなかった。
急斜面のコブを平坦なゲレンデを滑る様に降りて行く。
まるで山に住む仙人の様だと思った。
あの姿が忘れられない。
盛岡市中ノ橋通一丁目
そば処「北田屋」