盛岡食いしん爺日記
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先日のお昼前、
ある方に誘われて散歩。
盛岡らしい場所の一つ大慈寺などがある南の寺院群の辺りを歩いた。
路地には大慈清水・青龍水がある。
江戸時代から続く清水に街の人は今も汲みに集まる。
この辺りは、あまり観光客の姿を見かけない。
4月になり、入学や人事異動。
私が世話になった組織でも。
後輩たちが責任という階段を上る。
新聞で管理職になった女性の名前も見た。
そのうち、祝いのメールを送ろうか。
たぶん言葉にはしないだろうが、
また一段、孤独の階段を上ることになる。
「長」と名がつけば、部下たちと仲間のつもりでも
下の人たちは、そうは感じていない。
ましてや十数人を率いる立場になれば、
ついてまわる孤独感。
「大変だろうが頑張って、後に続く女性たちのために」
と打ったものの消去した。
後で電話でもしよう。
北国の春は、ゆっくり。
四季桜も咲いていた。
Royal Blue (1995 Remastered) · Henry Mancini & His Orchestra and Chorus
空気は、だいぶ柔らかになってきた。
「そろそろ、ランチにしましょう」と言う。
「はい、ペコペコです」
「かわ広さんは?」
すぐに頷いた。
寺院が建ち並ぶそばにある「かわ広」は、
百年以上の歴史がある老舗で創業は大正時代。
昔からの継ぎ足しのタレを使い店頭でかば焼きを売っていたが、
30年ほど前に店でも食べられる様に改築。
今も食堂への玄関と別にテイクアウトの店先もある。
入った時は誰もいなかったが、
昼を過ぎると、次々にお客さん。
鰻の人もいるが別の定食の人も。
店先に受け取りに来る人もいる。
散歩に誘ってくれた方は天丼。
実に美味しそうな天丼を見ながら言った。
「どうぞ、先に食べてください」
しばらくして私のお膳が来た。
かつ重にした。
初めて食べる。
カツをたっぷりの玉子でとじてある。
湯気のりいい香りが食欲をそそる。
隣の方が、
「美味しそう~」
と言った。
玉子のとろみ具合も好みで、
肉もしっかりしていい感じ。
煮込む時の割下が老舗の安定した伝統の味なのだろう。
また「かわ広」のご飯が美味しいのだ。
ひと粒も残らず平らげた。
いいタイミングで店の人がお茶のおかわりを持ってくる。
私達はカウンター席に座ったが、
隣のお年寄りの男性は鰻重を食べ、
持ち帰りを一つ頼んでいた。
きっと歩くのが大変になった奥さんに届けるんだ。
と、勝手に二人で想像していた。
隣の方が食べ終わり、会計しながら
鰻重を受け取り出て行った。
温かいうちに届けるのだろう。
「今度は鰻を食べに来ます」と言ってかわ広を後にした。
盛岡市南大通2丁目
「和風料理 かわ広」