盛岡食いしん爺日記
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週に一度は温泉へ。
いつの頃からか、
私の暮らしの一部になっている。
向かう途中、景色を眺めながら、
今日は、どこの温泉に行こうか?
ちょっと贅沢な悩み。
ある時は雫石の鶯宿温泉へ。
川長、偕楽園などから選ぶ。
網張の中腹のありね山荘は、
雪崩で源泉からの配管がやられたらしい。
雪が溶けるころまで休みだ。
小岩井が近くなって見えた岩手山。
今日は近くて大きい。
その姿に引き寄せられるように網張方面へ。
車を停めて望遠で覗く。
どこが山頂なんだろう?
雪を纏った岩手山は特に神々しい。
途中までは登ったが、
山頂からの眺めは未体験。
いつか、と思っているうちに、
歳を重ねるばかり。
Nardis · Eddie Higgins Trio
だいぶ標高も高くなり、
網張ビジターセンターに到着。
隣に網張温泉館がある。
普段より雪崩のせいで湯量が少なかった。
でも私には問題ない。
四肢を伸ばして温まる。
微かに硫黄の匂い。
この近くに網張スキー場がある。
頭の中に全てのコースが記憶されている。
山頂からの見晴らし、
途中の急斜面、てこずるコブ斜面。
凹凸のゲレンデを大回りする醍醐味。
膝が顎に近くなる。
緩斜面でひと息。
初心者の頃の滑り、
少し上手くなり調子にのって転んだ時の衝撃。
そこそこ滑れる様になってからの爽快感。
身体が覚えていた。
お湯に浸かりながら、
ほぼ全コースを滑りきった。
温泉館ではランチも食べられ、
広い休憩室で昼寝も。
まだ雪はたっぷり。
けれど、うかうかしていると、
すぐに樹々は芽吹き、
白い世界は終わってしまう。
温まって車に戻る。
エアコンいらずだ。
雫石の街の方へ一気に下った。
ゆったり過ごし、心にゆとり。
こんな時、初めての店にチャレンジしたくなる。
雫石駅に向かった。
店構えを見ていると、
かなり前に入ったことがある様な、ないような。
駅前の「食堂いしや」。
ある方が「よしゃれそば」を食べ、
美味しかったと話していた。
その人の顔が浮かび背中を押してくる。
メニューが豊富で迷ってしまう。
中華麺系が多い。
味噌ラーメン、担々麺などのほかに、
松前ラーメン、台湾ラーメンや
玉子あんかけラーメンまである。
マーボー丼、かつ丼、あんかけチャーハンも。
そばは三種と少ない。
よしゃれそばは、
ラーメンと日本そばの両方がある。
あの人は、どっちを食べたのだろう。
しかし、元祖よしゃれそばの店だ。
そばにしよう!
よしゃれそばは、
店の人たちがとった山菜で、
具材はすべて雫石でとれたもの。
「よしゃれ」とは「よしなさい」らしい。
ということは「よしなさいそば」?
昔話があり、
その物語を歌う「南部よしゃれ」。
民謡の曲名は聞いたことがある。
曲に合わせて踊りがあり、
ご祝儀などでも披露される。
この踊りの稽古で一服する時、
そばに野菜や山菜をふんだんに入れて食べた。
これがよしゃれそばの始まりらしい。
よし、そばにしよう!
山菜、野菜にきのこが盛りだくさん。
粒々は蕎麦の実だ。
出汁のよくきいた味わい深い汁。
そばは太めで風味豊かだ。
美味しい。
雫石の四季が詰まっている。
メニューで気になったニラ玉丼。
ご飯を覆い隠すニラ玉に肉そぼろがたっぷり。
これも美味しい。
やはり、若い頃に来たことがある気がした。
ただ何を食べたか、
どんな味だったかの記憶はない。
今日は、しっかり頭に焼きつけた。
かれこれ50年続くだけある。
また来るだろうと、
思いながら「食堂いしや」を後にした。
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