盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
8時半を過ぎて小腹が空いた。
夕飯は軽く食べている。
迷いながら歩いていていた。
真っ赤な暖簾に吸い寄せられる様に「蘭々」の暖簾を潜った。
変わらない店の雰囲気。
カウンターの端っこに腰かけた。
開店は昭和30年代の後半だろうか。
60年の歴史。
Romance · Juliette Gréco
久し振りの蘭々。
近くの盛岡劇場にお世話になった3年は、
昼や夕方によく来た。
その前は、飲み会の後、数人で来て、
まず、仕上げの瓶ビール。
あ~だった、こうだったと酌み交わす。
あの頃は飲みだすと、1軒では終わらなかった。
2次会が普通で3軒、4軒と飲み歩いた。
それが今では同級生と待合わせの時間は5時頃。
食べながら飲み、次の店で軽く飲んで8時頃には、
誰かが「そろそろだな」と言い出す。
2年ほど前、同級生のある男が話していた。
「人生75才がいいとこだ。」
それはないだろうと思っていた。
ところが、今では1年が怖いほど早い。
どんどん年を重ねる。
バドミントンをしていると、
体力の衰えを身体が教えてくれる。
先日、年代別の大会に出たが、
同じ世代の人達と、
試合の順番を待ちながら
30代、40代のスマッシュの音を聞いていた。
「凄いなぁ~」と誰かが言うと、
ある人が言った。
「俺達も昔はあ~だったんだ」。
長年知った顔が揃って老いている。
しかし、皆の昔を想えば確かにジャンプしては
スマッシュを打っていた。
これから経験した事のない体力の衰えと向き合う。
ある意味、未知の世界。
どう、自分の身体と向き合い、運動を楽しむか。
「お待ちどう様。久し振りだね」
お母さんが丼をカウンターに置いた。
蘭々名物「担々麺」。
赤と黒があり、黒にした。
黒タンは、たっぷり摺りごまが入っている。
チャーシューは鶏でさっぱりとしている。
メンマとにんにくのクキも。
濃厚で深い味わい。
美味しい!
週に一度は黒タンを食べていた頃もある。
マスターとの世間話も楽しかった。
ここでの思い出も多い。
もう、蘭々も懐かしい場所の一つになっている。
2人に見送られて店を後にした。
雪が降ると恋しくなる蘭々。
明日は元気に目覚めそうだと思った帰り道。