盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
朝、私にしては早くからせっせと仕事。
気がつけば、お昼を過ぎていた。
冷たくなった珈琲をひと口。
何を食べようかと考える。
ふと浮かんだ熱々の「ア・ラ・モンタンだ!」。
PC、ストーブをオフにして車の鍵をダウンのポケットに。
南の方を盛岡城址を背にした桜山神社。
北の方を岩手県庁など官庁街に囲まれた一帯、通称「桜山」。
その一角に「モンタン」がある。
1時半頃には着いた。
<音楽が出ます、音量に注意>
「いらっしゃいませ、おひとり様ですか」
「はい」と頷く。
爽やかな声で、
「お2階へどうぞ」
螺旋階段を上る。
数えきれないほどの人が上り下りしたのだろう。
2階のスタッフが窓際のテーブルに案内してくれた。
あちこちに混雑を避け、遅いランチ組がいるいる。
ダウンを脱いだ。
サラリーマン時代、
モンタンのア・ラ・モンタンが好きな人達がいた。
「千葉ちゃん、モンタン、どうだ?」
と聞かれ、
「行きますか!」
暑い日もチャイムと同時に仕事場を出た。
着く頃には、ひと汗かいている。
エアコンの風で汗がひくが、
食べ始める前にハンカチを手元に置く。
昔、夏にテレビに流れていた熱々のお茶漬けを汗して食べるCM。
あんな感じで、汗をものともせずLLを完食。
アイスコーヒーの氷が心地良かった。
あの方たちは元気だろうか。
風の便りも途絶え気味。
「お待ちどう様でした。」
とテーブルに置かれた熱々のL。
ア・ラ・モンタンだ。
久し振りの再会。
まずは全体を眺め写真を撮った。
ファインダーに映るトマト色。
昔の様にタバスコをちょっとふる。
隠れているが、
焼けたベーコンのいい匂い。
さあ!
スープをひと口。
ちょい辛のトマトそのものも入っているトソース。
美味しい!
飲めば飲むほど、飲みたくなる。
麺は太めで柔らかいが、弾力感がある独特のもの。
地元にファンが多く今や盛岡のソウルフード。
ア・ラ・モンタンを食べに遠くからも訪れる。
たまに出会うスープスパゲティとはひと味違う深いコク。
辛味とトマトの酸味と甘味の合体。
そこにベーコンの旨味が溶け出している。
やみつきになる味とは、正にこのことだ。
そして、何故か冷めにくい。
夢中で食べる。
最後まで、ふうふうし続ける。
食べ終わるとサービスの珈琲。
幸せ気分に浸りながら、
濃いめの珈琲で口の中が上手く調和される。
よし、帰って仕事の続きだ!
ダウンを着て螺旋階段を下りた。
会計していると、
二代目が、厨房から顔を出した。
久し振りで来たと挨拶すると、
出て来て店の入口に案内された。
「よかったら、見てね」
相変わらず笑顔が似合う方だ。
「へぇ~!」
二代目の方を振り返ると、
厨房に戻る所でこちらを見て笑って頷いた。
モンタンとア・ラ・モンタンの歴史がコンパクトに展示。
もう数年前だろうか、
花巻市東和の萬鉄五郎記念美術館で
モンタン展が開催され、見に行った。
このコーナーだけでもよく分かる。
昭和34年に盛岡の繁華街の大通りにスナック喫茶「モンタんが開業」し、
芸術家や文化人が集った。
そして、昭和44年に「ア・ラ・モンタン」が生まれた。
その後、変遷があったものの今も桜山のモンタンで、
ア・ラ・モンタンの味は受け継がれている。
盛岡の「素敵」がある。
しばらく見ていたが、あるお客さんの声が聞こえた。
「県内では、どこかで食べられるの?」
店の人が答えた。
「ここだけなんです。」
その微笑みは、ちよっと誇らしげに見えたのは気のせいだろうか?
お~!
きんこんか!
ここでも食べたことがある。
温まった上に、更に温まった午後のこと。
モンタンのInstagram