盛岡食いしん爺日記
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まだ盛岡が白い世界になる前の先週のこと。
朝からPCに向かっていたら眼が疲れて外へ出た。
少し散歩しよう。
数分で盛岡劇場。
一時は途切れたものの開業が大正時代。
当時の面影を残す建物は外回りを改修している様だ。
ここに3年ほどお世話になった。
斜め向かいに松栄館がある。
その1階の「いなだ珈琲舎」を目指した。
盛岡劇場の真向かいにあったが隣の松栄館に移転。
1階にはいなだ珈琲舎のほかに「松毬(チチリ)-chichiri」という花屋。
松毬とは松ぼっくりのことで、ちちりんとも読む。
そして、2階はユニークな本屋の「書肆(しょし)みず盛り」。
時々催事もあり絵画展や岩泉の志あめやのたぬきケーキが並ぶこともある。
以前の建物をリノベーションし、魅力的な店が入っている。
Deborah's Theme - Once Upon a Time in America -
Ennio Morricone - Eunice Cangianiello violin
今や盛岡の名店となったいなだ珈琲舎。
開店し、もう10年になる。
当時から通っているが、
その分、自分も歳をとったことになる。
カウンターの端の方に座り、今日もマンデリン。
何かスイーツも食べたいと思いメニューを開く。
「悪魔のガトーショコラ」とある。
「天使のシフォンケーキ」は食べたことがある。
よし、悪魔にしよう。
ここのマンデリンが好きだ。
酸味をあまり感じず、深いコク。
品の良い苦味がいい。
はて、どこに悪魔が潜んでいるのだろう。
生クリームをのせひと口。
美味しい~
ガトーショコラを引き立てる生クリーム。
いい仕事をしている。
よくあるそれとは一味も二味も違う。
マスターの方を見る。
「ガトーショコラも美味しいし、クリームがいいですね~」
と言うと、微笑みと頷きで答えてきた。
「ところで悪魔は?」
「ついつい食べ過ぎてしまうとカロリーが・・・」と笑う。
「な、なるほど・・・」
ガトーショコラとマンデリン。
しばらく一人の美味しい世界に入り込む。
ふと、気がつけば残り少ないマンデリン。
するすると喉を抜けてしまった。
朝からの仕事が、さっぱり進んでいない。
お代わりしたい誘惑を断ち切って立ち上がった。
自分が何かを始めたくなる時、
あるいはほっとしたくなる時、
気がつくとカウンターに座っている。
ここで色々な人との出会いもあった。
10年の思い出が散らばっている「いなだ珈琲舎」。
マスターは言う、これからが正念場です、と。
<いなだ珈琲舎>
<松毬 -chichiri>
<書肆みず盛り(しょしみずもり)>