盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
先日、八幡平市の方に行く用事があった。
青い空、山の蒼とまだ満開の桜を見た。
通りがかった車はたいてい停まり、
下りてスマホをかざす。
桜前線はここまで来た。
今年、最後の花見かな。
Grown-Up Christmas List · Amy Grant
用事を終えればランチの時間。
一緒の人と盛岡から続く鹿角街道、今の国道281号線を北へ。
八幡平市は広い。
西根町、松尾村と安代町が合併。
安代町は、最も北の町で秋田県と青森県に接していた。
今では東北自動車道も走り、八戸自動車道が分岐する。
安代に父が転勤し、2年近く住んでいた。
鹿角街道は、旧南部藩時代に整備された。
この道を金や銅などが盛岡城下に運ばれ、賑わっていたことだろう。
竜が森の峠を越えると左手に安比高原スキー場。
道路が整備されても真冬は吹雪で路面が凍り事故が多い。
峠を越えると東西を山に挟まれながら幾つかの集落を過ぎ、
更に行くと、昔2年ほど暮らした荒屋新町がある。
一本町ながら昔は暮らしに必要な物が概ね揃った。
中学校の場所は変わった。
昔は学年が5クラスあったが今は1クラスらしい。
街並みの雰囲気は昔と変わらない。
歩く人は見当たらない。
町を走り抜け、もう少し先に行きたくなった。
岩手で最も北西にある田山という集落まで行きたくなった。
道は大きく西の方へ曲がり、しばらく走ると峠があり、
そこに分水嶺がある。
秋田側と岩手側とに水の流れが分岐する場所だ。
田山に着いたが、荒屋新町よりもっと静かだった。
1時半になっていた。
すると「田山ドライブイン」があり、車を停めた。
確かここで有名なのが「きのこラーメン」だと、
何人かから聞いたことがある。
入口に張り紙。
きのこラーメンは終わり、11月からと書いてある。
懐かしい雰囲気だ。
前に来たことがある様な錯覚に陥る。
中学生の頃、田山には何度か来た。
すぐ近くにスキー場があった。
同級生達と来た。
しかし、50年以上前の記憶は朧気だ。
この店が当時からあったかどうかも分からない。
ただ、こんな感じの店でラーメンやカツ丼を食べた。
この地に残る記憶は田山中学に来て、
学校対抗の野球の応援をしていたことだ。
町に二つしかない中学校のライバル心に驚いた。
どちらかの学校が慶応でもう一方が早稲田の応援歌を
拝借して力いっぱい歌っていた。
校庭での応援合戦が熱を帯びていて転校生の私はとても驚いた。
メニューにレモンラーメンがあった。
失礼ながら、ここの雰囲気に不釣り合いな気がした。
ところが、テーブルに置かれると、
向かいからレモンの香りがして、
実はレモンラーメンの発祥の店ではないかと思ったほどだ。
食べ始めると、
「爽やかで、とてもさっぱりしてる。美味しい~」
「チャーシューも美味しい!」
私は味噌ラーメン。
見て「これは美味しいぞ」と思ったが、予想は的中。
味噌のスープの濃さ、麺との絡み具合と、好みの味だ。
箸とレンゲを持つ手が忙しい。
美味しい!
あっという間に完食。
昆布のおにぎりも美味しい~
「美味しかったです。」と会計。
きのこラーメンのことを聞いた。
「自分たちで採るので量も限られてまして・・・」
「なるほど、ここをブログに載せてもいいでしょうか?」
少し戸惑いながらも頷いてくれた。
店の人は言葉少ないが、いい距離感だ。
きっと何を食べても美味しいだろう。
一度、きのこラーメンを食べてみたい。
車に乗り込む前に店の方を振り向いた。
そうか、ドライブインってのは、泊まりもできるんだった。
いつのまにか道端の食堂だけだと思い込んでいた。
ここで、今も泊まれるかどうかは聞かなかった。
八幡平市
田山ドライブイン