盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
夕暮れの「茶寮かだん」から、姐妹(シスター)の火鍋。
最後は、隠れ家バー「ナイトジャー」。
もう花巻の夜のコースになっている。
商店街から入り込んだ道。
ぽつんと灯る明かり。
Barがあるとは思えない。
知る人ぞ知るお洒落な隠れ家Bar。
何の変哲もない建物の角に入口。
Speak Low · Peggy Lee
<音楽が流れます、音量に注意>
初めて通りかかり、入口に足を止めても
地下にある誰か洒落た人の暮らす場所かな、
なんて思うだろう。
地下に下りる階段の前に敷かれたマット。
そこにNightjarと書いてあるだけ。
もし、見つけて階段を下りれる人は、相当の嗅覚の持ち主。
踊り場に出入り口の開いた鳥籠。
Nightjar、ナイトジャーとは夜鷹を意味する。
下りた突きあたりを右に。
また数段下り、ドアを開ける。
ミステリアスな別世界が目の前に広がる。
そして、素敵なオーナーが出迎え。
今では躊躇なくカウンターの席に座る。
今宵は4人。
初めての人はいない。
始めにスープ。
ほっとする。
ソーサーが金継ぎ。
これもお見事。
A君のソーサーも素敵に継がれていた。
元々のデザインを越えてしまう感じ。
「もうクリスマスツリーを飾りました。」とオーナー。
この空間は「シノワズリ」だと勝手に思っている。
17世紀、ヨーロッパに中国の文化が伝わった。
陶磁器、漆器など東洋の文化は、
人々に大きな影響を与え、新たな文化を創りあげた。
家具や建築広くは芸術にまで影響を与えた。
「ココ・シャネル」も漆塗りの屏風などを愛用していた。
ヨーロッパで創造された独特のデザインだ。
オーナーに聞こうと思っていたが、その夜も忘れた。
中に数えきれないほどナイトジャーがいる。
いつも発見がある。
昔、サラリーマン時代にある先輩に言われた。
「呑みに行くならBarに行け、グラスを傾け、
ゆっくり話もできる。」
言われて20年以上も経って、ようやくその意味が分かる。
その夜、学生時代の話で盛り上がった。
4人とも東京だった。
それぞれが暮らしていた街の話になった。
思い出が続々と蘇る。
今年の夏、私は、久し振りに東京へ行ってきた。
新橋からゆりかもめで有明に行った帰り、
車窓から視界いっぱいに広がる摩天楼。
東京タワーが小さく見えた。
私は、ノンアルのスパークリングワイン、ロゼ。
雰囲気は十分。
気がつくと、2時間半を超えていた。
私とK君は盛岡へ帰る。
昔の様に日付が変わってもとめどなく呑む夜は無くなった。
「おや?」
カウンターに手書きの楽譜。
オーナーに聞いてみた。
2日間続けてjazzのライブを開いた。
初日の演奏が終わりミュージャンに、
いつかnightjarという曲を書いて欲しいと頼んだ。
すると、翌日のライブで曲ができあがっていた。
そして、演奏した。
なんと素敵な話だろう。
ミステリアスな雰囲気の曲らしい。
また近いうちにライブがあるそうだ。
階段を上って外に出ると、
止まっていた時間が流れ出し、
一歩ごと、日常に戻っていく。
花巻市「Nightjar(ナイトジャー)」