盛岡食いしん爺日記
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盛岡を訪れた方を案内すると、
たいてい街の大きさに驚く。
街の中を歩く前に車でひと回り。
盛岡駅前には20階を越えるビルやマンション。
駅から雫石川の南へ。
どこまでも広がる新しい市街地は日本のどこにでもある光景。
街の中に入る。
中津川の東の紺屋町などを通ると、歩いてみたいと言う人が多い。
駐車場に停めて歩く。
江戸時代から明治、大正の建物。
南部鉄器、染物屋、老舗の南部せんべい店。
足を延ばして鉈屋町の町家。
まだ現役の清水があり、静かな佇まいの寺の下寺院群。
歩いていると「暮らしたくなる街ですね」と言ってくれる。
今日は、鰻を食べようと言う人と、
その寺院群の傍にある「かわ広」へ。
大正時代の創業で百年以上の歴史がある。
昔からの継ぎ足しのタレ。
始めは店頭でかば焼きを売っていたが、
30年ほど前に店の中で食べられる形になった。
今でも、別にテイクアウトの店先がある。
This Masquarade - Arpi Alto
お茶を飲みながら待つ。
鰻を前にはしゃぐ人。
蓋を開ける前から香ばしい。
その人は背を丸めてゆっくり開けた。
かば焼きの匂いに包まれて満面の笑み。
そこに山椒の香り。
十分、その味を知っている。
濃すぎることもなく、淡白でもない。
ふんわりとした鰻は、脂ののりもいい按配。
飽きがこず、長く続く愛される味と言うのがピッタリ。
そして名脇役の鰻の下のご飯、これが美味しい。
私は、天むす定食。
久し振りに食べたかった。
一つひとつ粒だつご飯が海老天を包み込み、
持ちやすいように巻かれた海苔。
茶碗蒸しと蕎麦に果物まで。
食べた後、やる気が湧き出る。
茶碗蒸しから始めて天むすと蕎麦を交互に。
カウンターから硝子越しに見える厨房。
真摯に食材と向き合う料理人の姿。
見ていると気持ちが良い。
そして、心からご馳走様でしたと言いたくなる。
店を出ると暖簾はしまわれ、昼の部終わり。
午後から夕方まで仕事に熱中した。
家に帰ると、ルハン君の姿が見えない。
探し回ってやっと見つけた。
天井近くにいた。
下りてきたら、じっとこちらを見る。
しばらく遊んでご機嫌をとる。
パソコンの椅子を占領して落ち着いた。
ストーブの暖かい風が流れ出すと、眠る体勢。
でも、まだ耳で辺りを伺っている。
来月は、10才の誕生日。
一緒に過ごした10年を振り返ることにしよう。
盛岡市南大通2丁目
「かわ広」