盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
今宵は「すぺいん倶楽部」。
始まりは、昭和47年(1972)「西班牙館」。
昭和の後半には「すぺいん倶楽部」と改名。
令和になって今の場所に移転した。
すでに半世紀が過ぎた。
若い頃、JAZZBarは敷居が高かった。
一関の「ベイシー」は特にそうだった。
ドアを開ける前に一呼吸。
目立たない席で珈琲と煙草。
長居したことはない。
そもそもjazzの知識がないし、うんちくの一つも語れない。
かといってclassicも同じようなもの。
曲やミュージャンの名前もよく知らない。
ただ聞き流すだけの人。
ところで、初めてすぺいん倶楽部に来たのはいつだろう。
記憶がないが何度かライブに訪れている。
遅れてしまいカウンターに腰かけていると、休憩の時間。
気がつくとオーラを背負った日野皓正氏が隣に来た。
「楽しんでる?」
「はい」としか答えられなかった。
ふいにそんなことがあるすぺいん倶楽部。
その夜は、ライブではなく3人で飲み食い。
約束の時間には、紅のドアの前にいた。
ただ、聞き続けている曲がある。
暮らしの中の美を掘り下げて紹介するNHKの「美の壺」。
番組のオープニングで流れるアートブレーキーの「モーニン」だ。
聞くたびに曲が体の芯まで入り込む。
自然に身体が小刻みに揺れ、心躍る。
On a Clear Day · Scott Hamilton · Dena DeRose · Ignasi González · Jo Krause · Burton Lane
7時過ぎには3人が揃った。
乾杯して各々好きに飲み食い。
私はノンアル。
流れるjazzと2人の話を聞きながら、メニューを見る。
今のノンアルは侮れない。
独自のコクと味わいがあると思っている。
私は勝手に食べ始める。
欠かせないハンバーグ。
焦げ目まで美味しい。
くどさのない肉の旨味。
いくらでも食べられる。
ハンバーグだけを食べに来る日もある。
その時は、皿が窮屈になるほど大きい300グラムをオーダーする。
ここには回鍋肉まである。
野菜がたっぷりで嬉しい。
カツレツもある。
オーダーした人に断り、一切れ味見。
美味しい。
「もっとどうぞ」と笑って言うので頷いた。
二人はウイスキー。
かなりアルコール度が高いらしい。
以前は、喉が騒いだが、
不思議なことに今では見ているだけで満足だ。
そうそう、焼きそばだってある。
どの料理も美味しいのだ。
オーナーやスタッフの創る空間は居心地が良い。
音楽と美味しいものがあり、自然に寛いでしまう。
私にとって大切なレストランだ。
夢中で焼きそばを食べ尽くす。
ノンアルビールをおかわり。
ある方の話を始めてすぐ、
出待ちしていたかの様に、その人が入ってきた。
あまりの偶然に驚いたが、久し振りに会えて嬉しかった。
念ずれば会える。(笑)
そろそろ胃も落ち着いてきた。
スープパスタはちょい辛。
辛味をたす人も。
ここに魚を届けた人がいたそうだ。
それを汁にしてくれた。
〆にはうってつけだ。
実に美味しい~
満足した飲み食いの後に珈琲。
いい夜だった。
盛岡には、ライブが聴ける場所も多いと思う。
そして、秋は、あちこちでイベント。
外でも中津川縁、城跡の公演など街中は賑やかだ。
芸術文化の香り高い盛岡の街。
そういえば、このところ遠のいているライブ。
息遣いの聞こえる音楽を肌で感じるのもいい。
芸術と食の秋は駆け足で深まってきた。