盛岡食いしん爺日記

<音楽が流れます、音量に注意してください。>

 

 

午後に胸が熱くなることがあり、その夜も余韻に浸っていた。

あの日、ショートメール。

「明日、マイヤーリングには2時から3時ごろになると思います。」

少し仕事がは入っていたが微調整。

2時過ぎには着いた。

駐車場に弘前ナンバーの車。

マイヤーリングのドアに吸い込まれる二人の姿。

ちらりと横顔が見えた。

津軽の五所川原にある「葉山」のご夫婦だ。

追いかけてドアを開けた。

 

 

 

 

Miles Davis - On Green Dolphin Street

 

 

葉山のご主人とマイヤーリングのオーナーは、同じ専門学校の出身。

お菓子の世界では知られている学校。

一年違うが存在を知る同士。

葉山にマイヤーリングのケーキを届けたことがある。

ご主人からよろしくと言われ、帰ってから伝えたことがある。

 

五所川原に和菓子の店を開き30年以上が過ぎた。

殆ど休日もなく働いてきた方だ。

子供たちも巣立ち、別の世界で活躍している。

昨年あたりから昔の知人を訪ね歩いている。

 

二人は、ケーキを選び奥のカフェに入って行った。

誕生日のケーキを受け取りに来た人や

硝子越しに並ぶケーキを見ているカップルなどで賑やかだ。

厨房の方を見るとオーナーと目が合い会釈した。

モンブランが始まっていた。

私もスタッフにオーダーして奥へ。

 

 

ご夫婦と挨拶しテーブルに座った。

「急ですいませんでした」

「いえいえ、自分も五所川原に行く時は突然ですから」

隣で奥さんも笑う。

矢巾町の知人を訪ね、歓待されて長居してきたそうだ。

しかし、2時過ぎにはここに到着している。

きっと予想していたに違いない。

談笑しながら珈琲とケーキを。

 

 

 

 

「ここのオーナーとは、話しました?」

「いえ、忙しそうだから、帰りにでもちょこっと」

しばらく話しこんでいた。

 

 

長野県オリジナルの幻の葡萄クイーンルージュ®がケーキにのる。

シャインマスカットとユニコーンのかけ合わせ。

生産量が極めて少ない。

名前のとおり深紅のルージュ。

マスカットの香り、糖度はシャインマスカットより高い。

聞いた事はあったが初めて食べた。

マイヤーリングのケーキは主役の果実の瑞々しさを引き立てる。

美味しい!

 

 

マイヤーリングの秋の象徴、モンブラン。

あれ、栗の形のチョコレート。

中にはマロンクリームが入っていた。

これ、特別仕様かも。

 

 

ふいにカフェの入口にオーナーが来た。

すぐに「Мさんじゃないですか!」

歩み寄り、話し出す二人。

しばらく立ったまま。

そして、オーナーも座った。

学校から離れて以来の再会。

30年を超す歳月が流れていた。

共通の知り合いの名前が出たり、

互いの近況を語り合ったり話は途切れない。

私は、マイヤーリングのオーナーに少し説明した。

五所川原の葉山の店構えは、懐石料理でも出してくれる様な雰囲気。

きめの細かい格子戸で中は殆ど見えない。

木でできた表札に「葉山」とだけ書かれている。

格子戸を開けると、黒い石の床。

壁には藁が見えている。

話すたび、真っ白なシェフハットが僅かに揺れる。

「もうマイヤーリングの店の外観を撮りました。」

葉山のご主人は、機会があれば共通の知り合いに見せると言った。

和菓子と洋菓子の違いはあるが、

二人は、それぞれ自分の世界が街の人に認められている。

語り口は静かだが、それぞれの目には熱い想いが詰まっている様だ。

 

マイヤーリングは、開店して23年。

盛岡界隈でファンが多い名店だ。

地元の食材なども使って季節や風土を表現。

夏は、瑞々しいスイカのケーキがあり、軽く2個はいける。

 

葉山のご主人が私との出会いを語った。

私は、和菓子好きにさせられた店だと言った。

どれほど時間が過ぎたのかを忘れた。

二人の空白の30年は、見事に埋まっていた。

 

ひと足先に失礼した。

外へ出ると奥さんが来て弘前ナンバーからお土産を差し出す。

お礼を言って走り出した。

 

立ち会っただけなのに夜になっても胸が熱い。

 

「ふまんじゅう」

 

 

もちもちに続くプルンとした食感。

 

 

「秋の彩り」

続けて2個は食べられる。

 

 

「玉菊」

しばらく眺めてから食べた。

抹茶が欲しくなった。

 

 

「山路」

小さな紅葉のあしらえ。

 

 

「秋小道」

見ても美しい和菓子だ。

 

 

「きなこ餅」

 

 

きな粉を纏った皮。

その中の餡が栗を包む。

 

 

「栗しぐれ」

 

 

口の中に入れると鼻孔を抜ける栗の香。

 

 

どれも甘さ控えめ。

食べて喉が渇くこともない。

甘味が強い津軽で葉山の味は、珍しいだろう。

 

再会に立ち合って想った。

二人には、卒業後、学校に残っていたが、

既に心の中に羅針盤があり、荒波にブレる事もなく乗り越えて今がある。

そんな二人が私にはとても大きく見えた。

二人の作るお菓子は、

甘さを抑える事で逆に品の良いほのかな甘味が引き立つ。

再会に立ち会えたのは幸運だった。

そして、昼にはモンブラン、夜に和菓子を味わった秋の夜。

 

滝沢市字土沢

マイヤーリング

 

 

五所川原市上平井町

御菓子処  葉山

 

 

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