盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
久し振りに晴れたある日。
事務所の近くを散歩。
風も少し乾いて足にも力が入る。
しかし、とんでもない暑く長い夏は、嘘の様に消えた。
朝晩は長袖がいる。
何度か書いているが、大正時代の盛岡劇場の斜め向かいに
2階建ての「松栄館」がある。
以前の松栄商事の建物をリノベーション。
1階には「いなだ珈琲舎」、生花店の「松毬(ちちり)」。
2階に本屋の「書肆みず盛り」が入っている。
フルオープンが2023年の2月で、もう1年半が過ぎた。
この辺りの街並みに自然に溶け込んでいる。
街は、こうして生まれ変わる。
街は、呼吸し、生きている。
街は、暮らす人が創る。
料亭や旅館があったり、この辺りの佇まいが好きだ。
でも観光客の姿は少ない。
猛暑が過ぎて小さなテラス席。
ドビュッシー Deux arabesques, L. 66: No. 1, Andantino con moto
<音楽が流れます、音量に注意>
いなだ珈琲舎へ。
入口にはスロープ。
トイレも車いすでも大丈夫。
店主の人への想いが伝わる。
可愛らしいデザインのドリップパック。
贈り物やお土産に時々、買いに来る。
いつもカウンター。
彼の仕事を見ている。
集中すべきところが過ぎると雑談。
カウンターの奥に見知った顔。
二十数年以上も会っていない方。
昔ならすぐにも声をかけた。
しばらく店主と雑談。
新聞を見て俯きかげんの奥の人。
顔は動かない。
私の声は聞こえ、たぶん気がついているだろう。
マロンのプリンといつものマンデリン。
苦味、甘味や酸味。
そういう言葉じゃ言い尽くせない。
見事なバランス。
気がつくと、カップの珈琲はなくなっている。
見ているだけで幸せ気分になる。
この季節だけのマロンプリン。
珈琲とバッチリあう。
これも食べ始めると、一気に消えた。
ふわふわでほんのり甘い、シフォンケーキ。
いなだ珈琲舎は、ジャズが似合うと思っていたが、
その日の午後は、頭の中に流れたのはクラシック。
心整う時間だった。
しばらくして立ち上がった。
会計して「М君が来たら、私は元気だと伝えてね」
「はい、今、出張中だと思います。来たら言っときます。」
一週間もしないで彼に伝わるだろう。
奥の人はまだ新聞を離さない。
今度、会ったら声をかけてみよう。