盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
もう咲いていると知り、一戸町の奥中山へ。
盛岡から国道4号線を北上。
街を抜ければ信号も少ない。
上りが続き、標高は400メートルを越え気温も下がる。
葛巻町へ向かう道へと右折。
しばらく走ると左に大志田ダムへ向かう交差点がある。
そこを反対方向の右に。
道なりに200メートルほど進むと、右手に現れる丘一面の向日葵。
毎年の様に訪れるが、いつも夕方だ。
刻々と陽は傾き、ここから見ているとひまわりの丘に沈む。
静寂の中に咲く向日葵。
あれから5度目の向日葵。
残暑が厳しくなり少し早く咲くようになった。
初めて見たのは2020年の9月20日だった。
<その日のブログ>
秋に向日葵が咲くと聞いてやって来た。
向日葵の丘の前で時間も忘れしばらく立っていた。
そろそろ帰ろうとした時、
通りかかった人から声をかけられた。
「こんにちは、どちらから?」
その女性は近所に実家があり、よく見に来るという。
向日葵のことを話してくれた。
奥中山から青年海外協力隊でパラグアイに行った男性がいた。
現地で奥さんと知り合い、ここに戻り家業の酪農を継いだ。。
仕事をしながら家から見える丘に、
子供たちに見せようと向日葵を植えた。
ところが、彼は突然の事故で逝ってしまった。
その想いを彼の父親、親戚や近所の人達が引き継いだ。
話してもらった方に御礼を言って帰ろうとした。
すると空に虹。
見に来る人を空から歓迎している様だった。
(2020年9月の写真)
陽が沈む前、丘一面の向日葵。
何度見てもいい。
昨年奥さんと話ができた。
向日葵の背が低い年もあること。
花が終わると冬の鳥たちの貴重な餌になる話。
この丘も深い雪に埋もれるそうだ。
私は、初めて来た時に見た虹の話をした。
紋白蝶が葉の裏に止まっていた。
休んでいるのだろうか、
それとも命の終わりを静かに迎えようとしているのだろうか。
夕暮れの向日葵は冷える夜に備えている様だ。
陽が沈みそうになったが一瞬、雲が切れ陽が差した。
その時、10万本の向日葵が騒めいた気がした。
Enya - May It Be
<音楽が流れます、音量に注意>
しばらく眺めて高原の農場を巡る。
これも毎年のこと。
小さな展望台があり、駐車場もある。
西に七時雨山、正面に奥中山高原スキー場のある西岳。
南の方には岩手山。
普段見る形ではない。
ここに暮らす人は、これが日常の岩手山。
高原の空は、ともかく広い。
ひとりの人間のはかなさを想う。
標高600メートルを超える奥中山高原温泉には二つの風呂がある。
ここは、冬にはスキーセンターになる。
本館の「煌星の湯(きらぼしのゆ)」に入った。
昨日のバドミントンの疲れもとれ、肌がつるつる。
温泉に入り、次は空腹を満たす。
駐車場を挟んで向かいにある
別館「朝朱の湯(あさあけのゆ)」へ。
温泉のはしごはせず、食堂「やまぼうし」で食べよう。
露天風呂のある朝朱の湯もいい。
一戸方面に来ると、煌星の湯と交互に入っている。
ここで食べるのは初めてだ。
少し近くの席の人と話した。
その人は唐揚げ定食。
美味しそうで撮らせてもらった。
私は、塩野菜ラーメン。
たっぷりの野菜の旨味。
スープが細麺に絡む。
胡麻油の香りに食欲がそそられる。
「どこからいらしたの?」
「盛岡から向日葵を見に来て、その後温泉です」
あそこの向日葵は毎年楽しみだと話していた。
盛岡へ帰ろうと車に乗り込む頃には、
とっぷりと暮れていた。
帰りながら、向日葵の丘の奥さんが言っていたことを思い出した。
「朝日があたる時が一番好きなんです」
夜道を走りながら、太陽に照らされた丘が浮かんだ。
一度、見てみたい。